移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

2019年03月

l  3月9日、不法残留していたベトナム人男性4人を自動車部品製造会社に派遣していた業者が、入管法違反(不法就労助長)容疑で逮捕されました。またしても製造業派遣です。派遣業者は、「働く資格があると思っていた」として容疑を否認していますが、知りながら派遣したのか、在留カードを確認しなかったのか、偽造在留カードで騙されたのか、がポイントになります。

l  問題は、派遣先の自動車部品製造会社です。リスクが自分に降りかからないように、在留カードはわざと確認していないでしょうし、事情聴取しても「派遣会社に任せていた。不法残留とは知らなかった」とシラを切るのでしょうが、入国管理法第73条の2は、「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」は不法就労助長罪に該当することを定めていますし、「知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない」と明記しています。昨年、北海道では、派遣先の建設業者が逮捕されました。

l  「派遣先なら大丈夫」「技能実習なら指導どまり」と高を括って、白昼堂々大手を振って、法令違反を行う大企業を放っておいてよいのでしょうか?

【Timely Report】Vol.367(2019.3.14)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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製造業派遣で資格外活動!!」も参考になります。

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l  介護分野の技能実習における日本語要件が緩和される模様です。介護は2017年11月に技能実習の対象に加わりましたが、➀入国時にN4の合格が必要で、②2年目に入る際にN3の合格が義務付けられていたため、人気が集まらず、昨年10月末時点の来日者数は247人に留まっていました。この状況に危機感を覚えた日本政府は、技能評価試験に合格した場合、➀日本語を継続的に学ぶ意思を表明し、②介護の習熟のために必要な日本語を学ぶ、という条件を満たせば、N3の合格を義務付けないことにしました。

l  「特定技能」がN4なのですから、臨機応変で実務的な対応だと評価してよいと思います。そもそも不足しているから呼び寄せるという現実対応の施策だったのですから、来日しないのでは全く意味がありません。

l  その点で再考すべきは、「特定活動(本邦大学卒業者)」におけるN1という日本語要件です。実務としては、N1でなくとも、N2保有者で現場経験が豊富であれば、間違いなく即戦力。人手不足の現場を本気で改善したいのであれば、介護で見せた臨機応変で実務的な対応が政府に求められるところです。

【Timely Report】Vol.375(2019.3.26)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

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l  政府は、留学生の起業希望者に「特定活動」の在留資格を与え、最長1年の滞在延長を認める方針です。日本で学んだ知識や経験をもとに、世界に羽ばたくビジネスを日本で創業したり、日本に残って出身国との橋渡し役になることを期待していると言いますが、うまくいくでしょうか。お役所仕事なら、「外国人起業活動管理支援計画」を策定するように、ペーパーワークでよいのですが、本当の「起業」は、予想外の災いと戦い続ける「試練」です。

l  「起業」において、当初計画の通りに成功する事例など皆無。「起業家」とは、死に物狂いで毎日を凌いでいるうちに、全く想定していなかったビジネスチャンスに巡り合い、必死に食らい付きながら巧みに収益化し、事後的に美しいビジネスモデルに仕上げることができる人のこと。綺麗に見える事業計画書ほど誰でも思い付くモデルなので、失敗するのが関の山。本当なら、起業したい外国人には、全員「経営・管理」を与えて、半年後か1年後の実態を精査するのが正しいアプローチ。事業計画書でビジネスの成否などわからないからです。そんなことを言っても無駄でしょうが・・・。
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【Timely Report】Vol.349(2019.2.18)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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私は『知らなかった』は有罪です!」も参考になります。

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l  毎月勤労統計の不正調査で、2018年の実質賃金の大半がマイナスになる可能性があることがわかりました。アベノミクスが成功しているという裏付けとされてきた証拠の重要部分が否定されたことになり、大騒ぎになっています。お上は、「第2次安倍政権発足とほぼ同時に始まった景気拡大局面が、戦後2番目の長さとなった」と自画自賛していましたが、「そんなに景気良くないよね」という庶民感覚の方が正しかったことが立証された形です。

l  そもそもアベノミクスは、「物価が上がれば、景気が良くなる」とか「労働時間を減らせば、労働生産性は向上する」という宗教に近い妄想を基盤としていますから、その効果は知れたものであり、ひとつ間違うと経済メカニズムに悪影響すら及ぼしかねない要素を孕んでいます。

l  「物価上昇率2%」の達成を掲げた異次元の金融緩和を6年も続けながら、毎年未達で目標を取り下げたのに、責任を一切取ることなく、言い訳探しに汲々としている日本銀行を見れば、その実態が窺い知れるでしょう。お上の景気判断など当てにせず、生き残るための施策を打ち続けるしかありません。

【Timely Report】Vol.368(2019.3.15)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「アベノミクスには期待できない!」も参考になります。

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l  2018年の「人手不足倒産」は、前年比22.0%増の387件と最多記録を更新しました。そんな中、マクロの景気指標も陰り始めました。昨年12月の景気ウオッチャー調査では、家計・企業・雇用の3部門が揃って悪化し、全体の景況感が2017年3月以来の低水準に低下。日銀が実施した「生活意識に関するアンケート調査」でも、個人の景況感DIは▲32.0と、6年ぶりの低水準で、アベノミクスが始動する直前の水準にまで落ち込んでいます。

l  昨年12月に発表された日銀短観では、3カ月先の「業況判断DI」が現状よりもかなり悪化する見通しになっている中、帝国データバンクの調査でも、「回復局面」と判断する企業が激減する一方、「悪化局面」と指摘した企業が倍増する勢いであることが明らかになりました。景気の懸念材料としては、「消費税制」「人手不足」「原油・素材価格の上昇」が指摘されています。

l  昨年7~9月期のGDPも大きく下振れしたなど、景気の先行きには赤信号が灯っています。根拠なき楽観論に踊らされることなく、「景気後退局面に入った」と腹を括って、会社を運営する必要がありそうです。
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【Timely Report】Vol.336(2019.1.29)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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将来への不安を解消せよ!」も参考になります。

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