移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

2019年05月

l  5月下旬、「特定技能」に係る試験結果が続々と公表されました。外食業の技能試験では347人が合格(合格率75.4%)。宿泊業でも280人が合格し(同71.6%)、介護でも84人の合格者が出ました(同74.3%)。業界では、特定技能に特化したマッチングサイトを開設したり、日本語教育やトレーニングセンターに商機を見出すなど、一部で盛り上がりを見せています。

l  しかし、これらはすべて、外国人個人に対する必要条件に焦点を当てた試みにすぎません。じつは、「特定技能」は、従来の在留資格とは異なり、外国人個人の審査ではなく、受入企業のチェックに重きを置いた構造になっています。技能試験や日本語試験は、個人によほどの問題がない限りパスできますが、受入企業に課せられる条件やリスクやコストがやたらと重たいのです。現状のままで円滑なマッチングが実現するとは到底思えません。【p34~p38】

l  昨年7月に始まった日系4世の受け入れ事業は、実態を無視した設計だったため、4000人の枠に対して来日4人の体たらく(昨年12月時点)。「特定技能」も、「大山鳴動して鼠一匹」という結末にならなければよいのですが・・・。

【Timely Report】Vol.445(2019.7.10号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法は移民を受容しない!」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 
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l  大村入国管理センターで一昨年、男性職員が中国人男性に「ボケ」「あほんだら」など暴言を発し、規則違反行為で厳重注意処分を受けていたという事実が発覚。続いて、東京入国管理局の施設に収容中のクルド人難民申請者が昨年5月、職員に抵抗したとして取り押さえられた際、首に怪我をしたことがわかりました。さらに、入管施設に収容された外国人が職員に伴われ病院に行く際、待合室で手錠や腰縄姿を晒されるのは人権侵害ではないかという指摘がネットで話題になっただけでなく、大阪入国管理局に収容中の韓国人男性が施設外の歯科医院で2016年に治療を受けた際、同意なく7本以上抜歯され、精神的苦痛を受けたなどとして国と歯科医院に計約1100万円の損害賠償を求め大阪地裁に提訴したことが報じられました。

l  もっと驚かされるのは、親の在留資格が無くなった子供の扱いに関し、「法務省本局の方針に地方部局である東京入管が従っていない」という指摘です。これが事実であるとすれば、法治を担う法務省が所管する入管は「法治」ではなく「放置」されていることになります。入管は無法地帯なのでしょうか。
民主主義, 独裁政権, 町に署名, 地名標識, 状態, ポリシー, 責任
【Timely Report】Vol.352(2018.2.21)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  416日、22年ぶりに公立の夜間中学が埼玉県川口市に開校しました。入学試験はなく、県内に住む16才以上で、在留資格があれば、日本語がまったく出来なくても入学が可能です。現在、夜間中学があるのは、9都府県に33校。夜間中学に通う全生徒1687人のうち8割の1356人が外国人です。

l  日本国憲法は、子どもに小中学校の教育を受けさせる就学義務を保護者に課していますが、義務があるのは「国民」で、外国籍の子どもは対象外。義務教育年齢の外国人のうち16000人以上が学校に行っていないと言われていますし、JSLJapanese as Second Language:第2言語としての日本語)を教える仕組みを国全体で創ってこなかったため、日本語指導が必要な児童生徒(全国で約45,000人)の1万人以上は無支援のまま放置されています。

l  日本政府は「移民を認めない」立場なので、「移民」支援を意図的に怠ってきました。しかし、政府がどう定義しようとも、日本は事実上「移民」を受け入れた社会になっています。「いないことにすればいい」という無責任で将来に禍根を残す態度は即刻改めるべきです。

【Timely Report】Vol.441(2019.7.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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2019年5月22日(水)15:00より、月1回開催しているセミナー「ビザフォーラム」を行います。「これでわかる!『特定技能』のすべて!」と題し、今回の入管法改正の内容とそれに対応するための企業サイドの留意点についてまとめて講義いたします。コンプライアンス強化に役立ちますので、参加をご検討いただけますと幸いです。お問い合わせは、☎ 03-6206‐8058まで。


会場は、
JR神田駅から徒歩5分の「ONE HUNDRED HALL」(東京都千代田区神田須田町1-28タイムビル3F)です。参加費は、通常、10000円ですが、全国外国人雇用協会の会員(入会費1000円・年会費【法人】2000円)になると、無料でご聴講いただけます。当日、受付でもご入会いただけますので、ご利用ください。


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パスポート, 米国, ドキュメント, 旅行, 識別, 出入国管理, Id


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l  ある監理団体が、来日直後の外国人実習生に1カ月間、日本語や生活習慣を教えるための研修施設(最大60人)を大阪府摂津市に建築することを計画しました。1500世帯が暮らすこの地区では反対運動が勃発。「住環境の破壊ダメ!絶対!」「子ども達の安全・安心を守れ」というのぼりが、住宅の軒先ではためき、「地区の真ん中に外人がどんと来られたら困る」「不法就労や犯罪に走る可能性がある」などと不安の声が渦巻きます。反対署名も1万筆近く集まりました。今も建設は見通せません。

l  特定技能外国人に関しては、住居の確保が企業に義務付けられました。しかし現実には、外国人の入居を嫌がる貸主は少なくなく、摂津市のような事例はどこでも起こり得ます。外国人に対するいじめや差別、ヘイトスピーチも沈静化しません。山下法務大臣は、「令和元年を『多文化共生元年』と位置づけて日本で生活する人が安心して暮らしていける社会の実現を力強く推進していきたい」とカッコいいことを言っていますが、出入国在留管理庁は、この手の問題に対して、高みの見物を決め込むだけです。

【Timely Report】Vol.440(2019.7.3号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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