移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

2020年07月

l  新型コロナウイルスは、全産業にダメージを与えていますが、その中でも深刻なのは観光業。3月に日本を訪れた外国人旅行者数は、前年比▲93%になるなど、これまでに経験したことのない苦境に立たされています。JTBとHISは全国すべての店舗を、近畿日本ツーリストもほぼすべての店舗を臨時休業に。不足が喧伝されてきたホテルも、過剰供給が心配されています。

l  外国人入国者数は7年連続で過去最多(2019年3188万人)を更新し、本年初に観光庁長官は「2020年訪日外国人旅行者数4,000万人等の目標達成に向けた総仕上げの1年となります」と高らかに宣言していましたが、4ヶ月が経過した今となっては、浮世離れした話としか思われません。慎重な見方をしていたJTBの予測(3430万人)の半分も危なそうです。

l  国連世界観光機関は「世界の目的地の96%が旅行制限を行っている」と指摘し、世界旅行ツーリズム協議会は「全世界で7500万人の雇用と2.1兆ドル(約228兆円)の収益が失われる」と予測しています。日本でも、「廃業を考えざるを得ない」という声が渦巻き、壊滅的な結果を招きかねません。

【Timely Report】Vol.671(2020.6.11号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
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外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ http://nfeakeizai.blog.jp/
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1.       外国人犯罪に関する報道が増えています。2016年の統計で確認してみましょう。犯罪被疑者90.3万人のうち外国人は2.1万人で、外国人比率は2.3%。ただし、入国管理法違反で罪に問われている人が0.4万人いますから、実質的に1.7万人と考えれば、外国人比率は1.9%になります。日本に在留している外国人の人数は、全体の人口の1.8%ですから、ほぼ人口比に応じた数字であると評価することができないわけではありません。

2.       しかし、個別の犯罪における外国人比率に目を転じると、典型的な外国人犯罪とも言える入国管理法違反(84.4%)、関税法違反(23.0%)、風営法違反(20.4%)、売春防止法違反(18.0%)、商標法違反(14.3%)はともかくとして、盗品等関係(8.3%)、強盗致死傷(7.0%)、強盗(5.6%)、殺人(5.6%)、薬事関係(5.5%)、傷害(5.3%)、窃盗(4.5%)、強姦(4.5%)が目を引きます。この数字を見ると、「外国人を受け入れると犯罪が増える」という入管や警察の主張を退けることは困難であり、日本では「外国人労働者を大々的に受け入れるべき」という議論にはならないと考えた方がよさそうです。
手錠, ブラック, 刑事, 逮捕, ボンデージ, 犯罪, 法, 正義, チェーン
【Timely Report】Vol.16(2017.9.4)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  7月22日、安倍首相は、在留資格を持つ外国人の再入国を段階的に認める方針を表明しました。首相は、海外からのウイルス流入防止に万全を期す考えを示した上で、「国際的な人の往来の再開を順次進めていくことも重要だ」と強調したといいます。日本の再入国制限に対しては、「家族を離れ離れにしている」「母国で死去した親の葬式にも参列できない」などの批判が国内外から噴出しており、緩和に向けて動き出した格好です。

l  日本政府は4月3日以降、在留外国人の再入国を制限してきましたが、それ以前に出国したケースについては、例外的に、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」という身分資格を持っている人に限って、再入国を認めてきました。この4つの身分資格以外の在留資格を持つ外国人で出国中の人は約10万人(4月3日以降の出国は約1.2万人)ですから、今回の緩和で日本に再入国できる外国人が約8.8万人いることになります。

l  ただし、「GO TOトラベル」の国内移動ですら大激論になっています。海外からの再入国を認めるという判断が世論に支持されるのかが注目されます。

Vol.703(2020.7.30号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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l  新聞記事の信憑性が薄れる背景には、「基本的な事項を調査してから、必要な取材をして、結論を出す」のではなく、記者が「結論を決め打ちし、その結論を導いてくれそうな人に取材して、基本的な事項を再調査しない」という実態があります。7月13日付けの大手新聞の記事は典型的な一例です。

l  「コロナショック→外国人解雇→転職ニーズ→特定技能の不具合」という筋書きを組み立てた上で、知り合いの業者にインタビュー。業者は、「解雇した企業やその労働組合が支援すべきだが、大体は『あとは自分でなんとかしろ』と放り出すだけ」と期待通りのコメント。そして、「特定技能」による介護分野での就労を外国人に勧めているが、「介護技能評価試験と介護日本語評価試験の両方に合格する必要がある」ので難しいという結論に導きます。

l  しかしいまは、将来「特定技能」に変更することを展望した「特定活動」が認められているので、試験合格は不要です。介護での就労に挑戦する外国人も増えています。折角、入管が画期的な対応をしているのに、事実を踏まえることなくケチを付けるのでは、入管があまりにも可哀そうです。

Vol.700(2020.7.27号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  新型コロナウイルスの煽りで、実習生が来日できず、生産活動を大幅に縮小せざるを得ない事業主が続出しています。農業分野では2,400人、水産業でも300人について来日の見通しが立たず、大幅な人手不足に陥っています。農水省は、他業種から人材を引っ張ってこようと躍起になっており、補助や支援を打ち出していますが、いまひとつ有効打にはなっていないようです。

l  こうした状況下、入管庁は、人手不足が深刻な業界に外国人材を供給するため、従来は許されていない他職種への再就職を容認する方向に転じました。禁じ手の封印を解いたと言ってよいでしょう。対象となる外国人は、技能実習の継続が困難になった技能実習生、解雇された「特定技能」の在留資格での就労者、内定取り消しとなった留学生などで、本人からの申請に基づいて「特定活動」の在留資格を与え、最大1年間の就労を認めることとしました。

l  この「特定活動」は、学歴も試験も必要のない在留資格。将来、「特定技能」になることが予定されているとはいえ、義務付けられているわけでもありません。雁字搦めの「特定技能」よりも人気が出る予感がします。

【Timely Report】Vol.675(2020.6.18号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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