移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

2020年07月

l  最近、新聞記事のクオリティが落ちている感じがします。入管法に関して言えば、答えありきで飛ばし記事を掲載したり、自紙の主張に合わせるために事実の一部を誇張して批判するなど、信憑性に欠ける記事が少なくないのです。直近で言えば、「特定活動にコンビニが入る」という記事はその典型でしょうし、出入国管理政策懇談会の下に組織された「収容・送還に関する専門部会」の「提言」に関する報道もその匂いがします。

l  大手新聞では、「退去拒否に罰則」とか「拒否すれば刑事罰」という見出しが躍り、「入管が悪いことを企んでいる」というイメージを醸成していますが、「提言」は、「保護対象の明確化による的確な庇護」「手続の明確化を通じた適正・迅速な難民認定」「認定判断の明確化を通じた透明性の向上」「認定に携わる者の専門性の向上」を盛り込んでおり、評価できる点も少なくありません。「『入管=悪』の前提で特定の事例を取り上げて批判だけしても入管は耳をかさず、事態は変わらない。もっと広い視点から政策論争をすべき」(元UNHCR駐日代表)という声に耳を傾けるべきではないでしょうか。

Vol.698(2020.7.21号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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l  技能実習先から失踪したベトナム人を違法に働かせたとして、名古屋市の人材派遣会社の社長と、滋賀県長浜市の人材派遣会社の社長が逮捕されました。実習生5人を化学薬品会社やその工場で働かせたという疑いです。すでに実習生は、不法残留や資格外活動の疑いで逮捕・起訴されており、両社長は、「職場から失踪しているとは知らなかった」「オーバーステイだと知らなかった」などと容疑を否認しているようですが、有罪は免れ得ないでしょう。

l  この事件でもそうなのですが、「派遣労働者と派遣元の人材派遣会社は捕まるけれど、派遣先企業は許される」という奇妙な慣行が確立されているように見えるため、外国人派遣は、大企業のニーズが強く、外国人さえ集める力さえあれば、新興企業でも比較的簡単に大きな売上を稼ぐことができます。摘発された人材派遣会社も3000万円を得たとみられています。

l  今回のような法令違反を本当に「悪」だと思うなら、派遣先の人事担当者も逮捕したほうがいい。派遣先も、入管法に違反しているからです。大企業の人事担当を1人摘発すれば、こんな法令違反はあっという間になくなります。

【Timely Report】Vol.642(2020.4.28号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「入管法違反:またまた派遣会社が摘発される!」も参考になります。
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l  7月6日、就労資格のないベトナム人を新潟県の工場で働かせたとして、群馬県で派遣会社を営む経営者が入管法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕されました。不法残留したベトナム人男性を部品製造工場で働かせたようです。

l  外国人派遣は、ごく僅かな一部を除いて、明らかな違法か黒に近いグレーですから、ちょっとまともに調べれば、数珠つなぎで検挙できるような状況であるわけですが、偽造在留カードを絡ませて一捻りしている最近の違法派遣と比べると、あまりにもストレートな入管法違反で呆気にとられます。

l  ただし、だからこそ、外国人派遣の闇は深い。多くの関係者は、最初は違法と知りつつも、求人企業の圧倒的なニーズに寄り切られて手を染めていく。規模を拡大すれば日銭が加速して積み上がるビジネスだけに、一度美味しさを知ったら止められない。早晩、感覚が麻痺して「人がいないんだから仕方ない」と正当化。ホワイトな派遣に見せ掛ける努力すら放棄し、単なるルーティーンと化せば、ブラックとグレーの違いすらわからなくなる。それにしても、在留カードを持たない外国人を派遣するようになったら終わりです。


Vol.697(2020.7.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  自民党の外国人労働者等特別委員会は、6月23日に「提言」をとりまとめ、7月3日に、安倍総理大臣に提言書を手交しました。これを受けて、マスコミは、「特定技能の対象業種に、コンビニエンスストアや産業廃棄物処理を追加するよう求めた」と報じました。しかし、「提言」は、「コンビニエンスストア、運輸、産業廃棄物処理等の分野での外国人労働者の活用について更に議論を深め検討を行う」と記しただけであり、片山さつき委員長も、「業界・担当省庁の中で、人材確保のための努力を全部行ったが、人材がどうしても足りないので、万全の体制で受け入れるという所に至らなかったので継続審議にした」と公言。報道としては、「誤報に近い」と思われます。

l  気になったのは、留学生就職の部分。片山委員長は「特定活動等をうまく使って増やしていく」と総理に明言。「提言」も「本邦大学卒業生等を対象とした幅広い就労活動を認める『特定活動』の活用を促進する」と明記しています。「N1ビザ」の周知徹底に終わることなく、特例的に認めている「特定技能準備ビザ」の継続へと発展した場合には、とても大きな一歩になります。

Vol.696(2020.7.17号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  日本語教育機関6団体による調査では、全国208校に4月入学を予定していた留学生は13,700人。約1,000人(8%)が入学を辞退し、11,600人(85%)が入国待ち。今春の新入生がゼロの学校は86校に上ります(7割超が1割以下)。日本語学校で学ぶ留学生は、2018年度に10万人を超えましたが、5~6万人にまで半減。3割が「経営に支障がある」状態です。800行にまで膨れ上がった日本語学校バブルの直後だけに、深刻な影響が懸念されます。

l  コロナショックの直撃を受けた観光業並みの惨状だと言ってよいでしょう。しかも、観光業のように、政府が「GO TOキャンペーン」を展開してくれるわけでもなく、自然淘汰に任せるという感じです。粗悪な日本語学校が少なくないことは事実なのでしょうが、何も手を打たなければ、良心的で良質の教育を提供していた先も大量破綻してしまいかねません。

l  将来を見渡せば、「日本語教育」というインフラが重要になることは必至。日本語教育推進法で所管官庁となった文部科学省が立ち上がるべきなのですが、大学や専門学校を守ることに必死で、とても手が回らないようです。

Vol.693(2020.7.14号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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