移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

2021年02月

l  2月18日、立憲民主党は、難民等保護法案・入管法改正案を他党と共同で参院に提出しました。日本人の失業が大問題になることが確実なこの時期に、「難民を受け入れよう」という法案を出すのは、「少子高齢化が進む日本のために日本を支えてくれる外国人を受け入れる環境を創りたい」とは思っておらず、「人権派の私は正しいことをしている」と酔い痴れたいのでしょう。

l  長期的に見て、日本の社会構造と経済構造を維持あるいは縮小均衡に円滑に移行していくためには、若年層の外国人にかなりの部分を支えてもらえないと無理であることは事実ですが、多くの日本人は、日本語を覚えるつもりのない外国人を野放図に受け入れることを支持しないでしょう。

l  今回のような「難民を受け入れるべき運動」は、日本人の失業を問題視する人たちを逆に刺激して、「外国人排斥」の機運を生み、すでに少子化が危機的な水域に達し、コロナで少子化のスピードが加速した日本において、マイナスに働きます。ただでさえ、近未来を見据えたまともな議論ができないのが現状なのに、外国人に関する議論を感情的にしてしまうだけですから。

【Timely Report】Vol.7872021.2.26号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  失踪した技能実習生や偽装留学生・偽装難民を評して、「出稼ぎ目的とはケシカラン」と論じる人もいるのですが、明治元年から20世紀の半ばまでに、日本は100万人を超える「移民」を送り出しました。元々彼らのほとんどは、3~5年働いて故郷に帰ることを目的とした「出稼ぎ」でした。

l  「いまの我々とは関係ない」と言われてしまえば、身も蓋もありませんが、来日している外国人の「出稼ぎ」たちは、当時の「日本人移民」に似た境遇にあります。異国における当時の日系人の苦労を偲んで涙するのであれば、来日している「出稼ぎ」たちの暮らし向きにも手を差し伸べるべきでしょう。

l  日本政府が施行した「移民保護法」(1896年)は、「移民」を「労働ニ従事スルノ目的ヲ以テ外国ニ渡航スル者及其家族ニシテ之ト同行シ、又其所在地ニ渡航スル者」と定義。また、「三、五年の後母国に還る者」を「一時的移民」と分類していましたから、いまの「出稼ぎ」たちは列記とした「移民」です。また、1928年には「国立神戸移民収容所」も開所されました。安倍政権の「移民論議」と比べると、150年前の日本の方が「近代的」に感じます。
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【Timely Report】Vol.238(2018.9.3)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  2月22日、大阪市で人材派遣会社を営んでいる社長と社員が書類送検されました。不法残留していたベトナム人を雇ったという不法就労助長罪の疑いだということです。同月18日には、愛知県の派遣会社が逮捕されました。不法残留のベトナム人と就労資格のないベトナム人を道路工事の現場に派遣したという不法就労助長罪です。しかし、社長は、「不法残留や資格外であることは知らなかった」と容疑を否認していると報じられています。

l  外国人派遣は「入管法違反の温床」です。昨年暮れにも、大手上場企業の人材派遣子会社が不法残留していたベトナム人を食品加工会社に派遣したとして、千葉営業所の所長や社員が摘発されました。同様の罪状で、東京都豊島区の人材派遣会社も書類送検されています。愛知県や埼玉県でも、ベトナム人を違法派遣した社長が摘発されました。少なからぬ業者は「違反行為」に麻痺していますので、外国人派遣会社を隈なく捜査すれば、半数近くで違法行為が摘発されるに違いありません。日本人の失業問題が表面化して大問題になる前に、徹底的に大掃除しておくべきだと思われます。

【Timely Report】Vol.7862021.2.24号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  「特定技能」の外国人を雇う気満々の経営者も少なくないと思います。でも、「日本人と同じように扱えばいいだろう」と思っていませんか? マクリーン事件の最高裁判決(1978年)においても、「憲法による基本的人権の保障は、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきである」と判示されていますから、憲法上は「日本人同等でよい」ような気がします。

l  じつはその考え方、「特定技能」については大間違い。というのは、今回の入管法改正で、「アファーマティブ・アクション(外国人の不利な現状を是正するための改善措置)」が埋め込まれたからです。例えば、住居に関して会社が保証人になるとか、雇用契約が終了する際には転職支援するとか、一時帰国を希望した場合に有給休暇を取得させるなど、一般に日本人社員には認められていない措置が法定されています。有体に言うと「逆差別」です。

l  実際に制度が始まると、この「逆差別」に関して、様々なトラブルが発生します。早々に「内国民待遇」の大原則(日本人と同等に扱えばよい)を打ち立てないと、手ひどい混乱を招くのではないでしょうか。

【Timely Report】Vol.371(2019.3.20)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  11月22日、安全保障上、重要な企業に対する外国人投資家の出資規制を強化する改正外為法が成立しました。従来、外国人投資家が特定業種に属する日本企業の株式を10%以上取得する場合、事前届出が必要とされていましたが、この基準が10%から1%に厳格化されます。このため、今後は、わずかな株の取得でも事前届出が必要になってきます。

l  残念ながら、日本の株式市場は、すでにアジアのローカル・マーケットのひとつに成り下がってしまっており、長期的な成長を期待する有力な投資ファンドは日本企業に魅力を感じていません。魅力を失った国が規制を強化した場合、さらに魅力を失い、おカネが流入してこなくなる恐れがあります。

l  おカネだけでなくヒトも同じこと。「日本の労働市場はアジアから見て魅力的に違いない」と思い込んで、余計な規制ばかりを作ると、来てもらえなくなります。その好例が「特定技能」。入管庁は、試験実施や送り出し国の手続の遅れなどを原因に挙げていますが、「特定技能」に係る複雑な制度や手続もその一因。早急に手を打たないと、労力と時間を無駄にしてしまいます。

【Timely Report】Vol.604(2020.3.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一流の外国人は日本に来ない?」も参考になります。

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