移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

カテゴリ: アジア

l  12月1日、中国は、「長江デルタ地域一体化発展計画綱要」を発表しました。長江デルタ地区では、外国人に対する永住許可、就業許可、出入国サービス、留学生の就業などに関する新政策を試験的に進める予定です。

l  中国政府は、2016年に「外国人の永住管理の強化に関する意見書」を発表し、中国国内において、金融や教育、医療、交通、通信、就業・社会保険、財産登記、訴訟関連の事務職に従事する外国人は、永久居留証を取得することができ、中国での期限なしの居住が許され、本人のパスポートおよび永久居留証によって自由に出国・入国できるようにする方針を打ち出しました。

l  中国の生産年齢人口は2014年にピークを迎え、減少に転じました。今後25年間で65歳以上の中国の人口割合は12%から25%になると予想されています。出生数は、2018年に1961年以来という1523万人まで落ち込みました。中国が人材の「輸出国」から「輸入国」になるのは時間の問題です。日本は、中国が人材輸入を本格化させるまでに、国力に見合った人材確保の方程式を完成させることができるでしょうか。入管庁には荷が重そうです。

【Timely Report】Vol.607(2020.3.7号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:移民の入国を防ぐことは難しい」も参考になります。
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l  515日、台湾は「新経済移民法」の草案を公開し、「高い専門性を持つ外国人」のみならず、「中程度の技術水準を持つ外国人」を受け入れ、年間183日以上7年間台湾に居住すれば永住ビザを認めるという方針を示しました。「中程度の技術水準を持つ労働者」は、「技術者や高度プロフェッショナル従業員の補佐、機械操作、組み立てなどに従事する労働者」を意味し、12万人不足しているとされていますが、受け入れる際の月給の下限は上位70%の水準に設定し、41,393台湾元(≒152,300円)とした上で、介護サービス要員については32,000台湾元(≒117,700円)としました。

l  台湾の高齢化率(65歳以上)は14%を超え、アジアの中では日本の次に高く、出生率は1.17と日本(1.44)よりも低いので、少子高齢化が大問題になっています。ただし、人口のピークは2024年と予測されており、現時点でも総人口は僅かながら増加。それでも、台湾が移民政策を打ち出したのは、日本・韓国・中国の少子高齢化を眺め、先手を打たなければ将来に禍根を残すことを理解したから。為政者の危機意識と先見性の高さが窺えます。
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【Timel
y Report】Vol.173(2018.6.1)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  日本以上に激しく急速な少子高齢化が、今後中国に襲い掛かります。「一人っ子政策」の影響で、25歳以下の世代では女性が男性より3000万人も少ないという歪な人口構成になってしまい、出産適齢期の女性が激減しているので、出生数を伸ばしようがありません。出生率の低下と平均寿命の延長を背景に、世界各国で少子高齢化問題が浮上していますが、中国の場合、出産適齢期の女性が少ないので、高齢化のスピードが他国よりも遥かに速いのです。介護保険が整っていない中で、親2人を介護せざるを得ない独身男性が激増するため、何も手を打たなければ悲惨な未来が待っています。

l  2016年に、中国政府は「一人っ子政策」から「二人っ子政策」に転じましたが、出生率の上昇はわずかでした。年内に出生制限政策が撤廃されるとも噂されていますが、出産制限が完全に撤廃されても、若い女性が少なく、豊かになった中国で、出生率が大幅改善することは見込めません。したがって、近い将来、中国は「労働力」の「輸出国」から「輸入国」へと転じます。「門を開けば日本に来る」と高を括っていると、残念な結果に終わりそうです。
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【Timely Report】Vol.310(2018.12.14)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「中国が移民管理局を設立!」も参考になります。

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l  2019年4~6月期の実質GDPは、内閣府が官邸と財務省の意向を忖度して、年率1.8%増となりましたが、実態と乖離している感があります。帝国データバンクの景気動向調査結果(7月)では、景気動向指数が8カ月連続で悪化。共同通信社のアンケートでも、国内景気が拡大していると答えた企業は23%(昨夏78%)にとどまり、「緩やかに拡大」と答えた企業が23%(同77%)で、「拡大」と答えた企業は皆無に(同1%)。景気ウオッチャー調査(7月)でも3カ月連続の悪化で、3年3カ月ぶりの低水準に沈みました。

l  足元では、人手不足倒産が急増。7月の全国企業倒産件数は、2年2カ月ぶりに800件を超えました。年間でみると、過去最悪を記録しそうです。そんな中、大企業では中高年のリストラが加速しており、早くも昨年の2倍に到達。「勝ち組」とみられているファーストリテイリングの柳井会長は、「平成の30年間は経済敗戦だ」と嘆き、著名投資家のジム・ロジャーズは、かつてアジアで最も裕福な国だったビルマを例に引いて、「日本はアジア最貧国に転落するかもしれない」と警告。楽観は禁物です。

【Timely Report】Vol.518(2019.10.28号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:初年度見込みは大幅未達?」も参考になります。

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l  香港では、犯罪者を中国に引き渡すことを可能にする逃亡犯条例の改正を巡って、69日に、100万人以上が参加する返還後最大規模のデモが勃発し、同月16日には200万人にまで膨れ上がりました。香港政府はいったん条例を撤回し、沈静化を図っていますが、今後の動静には予断を許しません。

l  そんな中で、香港支持を公言した台湾への移民が急増しています。台湾の居住権を得るには、通常150万香港ドル(約2000万円)かかるとも言われていますが、今年1~4月には前年比40%増の約400人に達しました。5月と6月の台湾移民説明会に参加した人は各300人と、4月に比べて倍増しています。香港から台湾への移民は、2014年には697人だったのですが、2018年には1267人に増加。今年はさらに増えそうです。

l  香港の中国化を嫌う若年層(1830歳)は51%が、機会があれば海外への移住を考えており、全体でも34%が移住を希望しています。移住先のトップ3は、カナダ・オーストラリア・台湾。日本に移住する希望者は少ないようですが、彼らが日本を選択したとき、日本はどう対応するのでしょうか。

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