移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

カテゴリ: ヨーロッパ

l  スイスには不法就労者が76,000人いるとされ、そのうち13,000人がジュネーブ州に住んでいると言われています。そのジュネーブでは、2015年に地元当局が始めた不法就労者合法化事業「パピルス・プロジェクト」に基づき、不法就労者3,500人に就労許可を発行しました。1,757人が審査中で、却下されたのはわずか7人でした。反対する政党も一部にありますが、現在のところは、概ね肯定的に受け止められているようです。

l  一方、日本では、退去強制手続中の外国人に関する長期収容が問題になっています。人権侵害や自殺問題などもあり、国会やマスコミでも厳しく追及されているところですが、奇しくも新天皇即位に係る恩赦が検討されています。

l  この際、オーバーワークで摘発された収容者や仮放免中の外国人については、未納付の租税公課を重課して支払うことを条件に、就労資格を付与するという「恩赦」を実施したらいかがでしょうか。ちなみに天皇陛下は、昨年12月に「各国から我が国に来て仕事をする人々を、社会の一員として私ども皆が温かく迎えることができるよう願っています」と語られておられました。

【Timely Report】Vol.398(2019.4.26)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法は移民を受容しない!」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 
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l  昨年12月、イタリアで、人道的理由による難民の滞在許可を廃止する法律が制定されました。戦争や政治的迫害以外の理由による難民に対して居住許可や身分証明書の発行ができなくなり、多くの難民が不法滞在状態に陥ることになります。この法律に対して、「憲法に謳われている人権を侵害する」と主張して、パレルモ市長が反旗を翻します。ナポリ市長やパルマ市長も同調して、滞在許可を発行し続けます。政府高官は、「不法移民を助けるものはイタリアを憎んでいる」と述べ、法的手段に訴える方針を表明。市長たちは受けて立つ構えです。イタリアでは、昨年秋、リアーチェ村長が、類似の事件で強権的に排斥されており、今後の展開が注目されます。

l  不法移民を助けることは犯罪か否かという問いは、万国共通の難問です。米国では、国境付近の自然保護区に無断で入り、不法入国者のために水と食料を置いて立ち去ったボランティアが有罪になりました。一方、フランスでは、移民を不法入国させる手助けを行い、廃駅にかくまった人の有罪判決が破棄されました。日本では明確に争われたことはないようですが、果たして?

【Timely Report】Vol.396(2019.4.24)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  イタリア南部に、人口の4分の1が外国人というリア―チェという村があります。ゴーストタウン寸前だった村を救ったのがルカーノ氏。難民の人々を受け入れ、廃屋を修復して住居を確保しビザを手配しました。また、国からの助成金で地域通貨を発行して、織物やガラス細工などの技術を難民たちに教えて、自分たちで働いて、毎日の糧を得られる経済圏を構築しました。この成功により、2016年に「フォーチュン誌」で世界のリーダー50人のひとりに選ばれたほか、ローマ教皇からも深い感謝と共感が寄せられました。

l  ところがイタリア政府は、入札手続を経ずに難民が関わる団体とゴミ収集の契約を結んだり、難民が滞在できるよう村民との結婚手続きをしたりしたとして、ルカーノ氏の行為を「非合法に滞在する外国人の違法援助」と断定し自宅で拘禁。難民たちも村外に移送することを決定しました。難民排斥を主導する政府の横暴だとして反発する声も強いのですが、これが入管政策の難しさ。「人道主義」だけで突っ走るわけにはいかず、かといって、杓子定規な「法令主義」はあまりにも非人間的。果たして日本は?
チンクエ ・ テッレ, イタリア, Manarola, リグーリア州, 岩, 海
【Timely Report】Vol.204(2018.7.17)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「欧州で反移民が止まらない!」も参考になります。

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l  EU(欧州連合)が、難民問題で大揺れに揺れています。特に6月中旬から月末にかけては、これまでにないほど緊張感が高まりました。100万人を超える難民が押し寄せた2015年の難民危機を切っ掛けに、極右政党が勢力を増し、各国において反移民・反難民の政権が誕生しています。

l  昨年10月に実施されたドイツの総選挙では、極右政党が大きく票を伸ばし、EUの盟主であるドイツのメルケル政権を揺さぶりました。12月には、オーストリアで反移民・反難民の新政権が誕生。チェコでも移民排斥を唱える新政権が生まれます。また、EUの指示に従わないポーランドのポピュリスト政権は、首相を挿げ替えつつも自説を曲げません。2018年も流れは変わらず、4月に反移民・反難民の最右翼であるハンガリーのオルバン政権が再選を果たすと、6月にはイタリアで反移民・反難民の政権が誕生しました。

l  イタリアの新政権は、誕生するや否や、難民流入を阻止するための実力行使に出ます。地中海を渡って、イタリアに上陸しようとする難民を乗せた救助船の入港が拒否されると、それぞれの国の思惑が絡み合って、足並みが揃わず、EUが右往左往し始めます。取りまとめ役であるはずのドイツですら、足元の連立与党で造反劇があり、一時は政権崩壊の危機とも報じられました。

l  いずれにせよ、EUが早期に難民問題を解決することは難しそうです。ただし、この現象を正しく理解するためには、歴史的な経緯に加え、難民認定率(イタリア5%~ドイツ40%:日本0.2%)や移民比率(10%超:日本2%)を熟知した上で考察すべき。表層的な事件だけに目を奪われ、短絡的に「反移民・反難民」を唱えても、EUを「活きた教材」にすることはできません。

l  サッカーW杯を見れば明らかなとおり、ヨーロッパの国々で代表選手の中に移民がいない国など皆無です。EUの問題は、「難民や移民を受け入れる」という大前提の下でキャパシティを超えた国々の問題であり、日本のように、「難民や移民を受け入れる」という大前提がないのに都合がよいところだけ受け入れようとする国の問題とは本質が違います。日本が学ぶべきは、EUにおける「排斥」の現象ではなく、「共生」の努力と諸制度と思われます。
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【Timely Report】Vol.204(2018.7.17)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「欧州で反移民が止まらない!」も参考になります。

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l  99日、スウェーデンで総選挙が行われ、反移民を掲げる「スウェーデン民主党」が大躍進。得票率(17.6%)は第3位で、無視できない存在になりました。昨年来、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、イタリアと続いてきた反移民の潮流は止まるところを知らないように見えます。【p11p29

l  政権与党の社会民主労働党が1世紀以上にわたり第1党の座を占め、経済も堅調なスウェーデン(人口1000万人)は、移民に寛容な国でしたが、国民の4人に1人が移民系になる中で、2015年の難民危機に国民1人当たりで最大の移民(16万人)を受け入れたこともあり、「スウェーデン市民よりも移民を大事にするのか」という幅広い批判を呼び起こすことになりました。

l  日本でも、訪日外国人や在留外国人による「健康保険タダ乗り論」が一部で出ていますが、外国人の受け入れが増えていけば、スウェーデンと類似の議論が沸き起こるのは必至です。今のうちに、将来を見据えた大きな設計図を描き、必要な制度改革の詳細を煮詰めておかなければ、欧州における反移民の潮流は、遅かれ早かれ、日本にも押し寄せることになるでしょう。
王宮, スウェーデン, ストックホルム, 航空写真
【Timel
y Report】Vol.252(2018.9.25)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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