移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

カテゴリ: ヨーロッパ

l  EU(欧州連合)が、難民問題で大揺れに揺れています。特に6月中旬から月末にかけては、これまでにないほど緊張感が高まりました。100万人を超える難民が押し寄せた2015年の難民危機を切っ掛けに、極右政党が勢力を増し、各国において反移民・反難民の政権が誕生しています。

l  昨年10月に実施されたドイツの総選挙では、極右政党が大きく票を伸ばし、EUの盟主であるドイツのメルケル政権を揺さぶりました。12月には、オーストリアで反移民・反難民の新政権が誕生。チェコでも移民排斥を唱える新政権が生まれます。また、EUの指示に従わないポーランドのポピュリスト政権は、首相を挿げ替えつつも自説を曲げません。2018年も流れは変わらず、4月に反移民・反難民の最右翼であるハンガリーのオルバン政権が再選を果たすと、6月にはイタリアで反移民・反難民の政権が誕生しました。

l  イタリアの新政権は、誕生するや否や、難民流入を阻止するための実力行使に出ます。地中海を渡って、イタリアに上陸しようとする難民を乗せた救助船の入港が拒否されると、それぞれの国の思惑が絡み合って、足並みが揃わず、EUが右往左往し始めます。取りまとめ役であるはずのドイツですら、足元の連立与党で造反劇があり、一時は政権崩壊の危機とも報じられました。

l  いずれにせよ、EUが早期に難民問題を解決することは難しそうです。ただし、この現象を正しく理解するためには、歴史的な経緯に加え、難民認定率(イタリア5%~ドイツ40%:日本0.2%)や移民比率(10%超:日本2%)を熟知した上で考察すべき。表層的な事件だけに目を奪われ、短絡的に「反移民・反難民」を唱えても、EUを「活きた教材」にすることはできません。

l  サッカーW杯を見れば明らかなとおり、ヨーロッパの国々で代表選手の中に移民がいない国など皆無です。EUの問題は、「難民や移民を受け入れる」という大前提の下でキャパシティを超えた国々の問題であり、日本のように、「難民や移民を受け入れる」という大前提がないのに都合がよいところだけ受け入れようとする国の問題とは本質が違います。日本が学ぶべきは、EUにおける「排斥」の現象ではなく、「共生」の努力と諸制度と思われます。
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【Timely Report】Vol.204(2018.7.17)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「欧州で反移民が止まらない!」も参考になります。

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l  99日、スウェーデンで総選挙が行われ、反移民を掲げる「スウェーデン民主党」が大躍進。得票率(17.6%)は第3位で、無視できない存在になりました。昨年来、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、イタリアと続いてきた反移民の潮流は止まるところを知らないように見えます。【p11p29

l  政権与党の社会民主労働党が1世紀以上にわたり第1党の座を占め、経済も堅調なスウェーデン(人口1000万人)は、移民に寛容な国でしたが、国民の4人に1人が移民系になる中で、2015年の難民危機に国民1人当たりで最大の移民(16万人)を受け入れたこともあり、「スウェーデン市民よりも移民を大事にするのか」という幅広い批判を呼び起こすことになりました。

l  日本でも、訪日外国人や在留外国人による「健康保険タダ乗り論」が一部で出ていますが、外国人の受け入れが増えていけば、スウェーデンと類似の議論が沸き起こるのは必至です。今のうちに、将来を見据えた大きな設計図を描き、必要な制度改革の詳細を煮詰めておかなければ、欧州における反移民の潮流は、遅かれ早かれ、日本にも押し寄せることになるでしょう。
王宮, スウェーデン, ストックホルム, 航空写真
【Timel
y Report】Vol.252(2018.9.25)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「欧州で反移民が止まらない!」も参考になります。

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l  4月上旬、ハンガリーで総選挙が行われ、「反移民」を掲げる与党が大勝利を収めました。中欧、ポーランド、オーストリアで、「反移民」の流れが勢いを増しており、EU内の亀裂が広がる可能性があります。3月のイタリア総選挙ではポピュリズム政党の「五つ星運動」と極右の「同盟」が躍進。ドイツでも極右「ドイツのための選択肢」が最大野党に。フランスでも、極右のルペン氏は敗れたとはいえ、昨年の仏大統領選で2番手につけました。

l  こうした欧州の動向を例示して、「日本は島国で同質的なので、昔から日本人というまとまりがあった。歴史的に見て、移民などありえない」と主張する人もいますが、江戸時代まで「自分は日本人」と思っていた人は皆無。国民を戦争に動員するために「この国は自分の国だ」という愛国心が必要だったので、明治政府が「国民」という概念を短期間で創り上げたというのが史実。また古くは、4世紀から7世紀頃、中国大陸や朝鮮半島から「渡来人」を幅広く受け入れた時期もありました。移民に関する議論は感情に流されがちですが、事実に基づいた政策協議を冷静に行いたいものです。
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【Timely Report】Vol.148(2018.4.24)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「イタリア新政権でEUが瓦解?」も参考になります。

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l  スイスの不法滞在者は76,000人と推定されています。そのうち13,000人の不法滞在者を抱えるジュネーブ州は、2015年秋、長期不法就労者を合法化するという「パピルス・プロジェクト」を立ち上げました。

l  合法化を申請する要件は、①経済的に自立していることを証明すること、②現在の職をすべて申告すること、③借金が無く、法的手続きを受けていないこと、④ジュネーブに連続して10年以上居住していること(学童がいる場合は5年以上)、⑤基本的なフランス語が話せることであり、決して高いハードルではありません。これまでに、不法就労者1,093人が滞在許可証を受け取り、申請却下や国外退去となったのはたった4人だけといいます。経済担当の高官は「これで経済を浄化することができる」と胸を張りました。

l  201811日時点における日本の不法残留者は66,498人。上記のプロジェクトを開始した時点のスイスより少ない規模です。日本も同じことしろとは言いませんが、大学卒の日本人が従事している業務であれば、「技術・人文知識・国際業務」を認めるくらいの現実的な度量は必要と思われます。
マッターホルン, 高山, ツェルマット, 山, ゴルナーグラート, ヴァレー
【Timely Report】Vol.144(2018.4.18)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「台湾は移民政策に踏み込む!」も参考になります。

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l  独メルケル政権が、難民問題で揺れています。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟は、半世紀以上統一会派を組んでいるキリスト教社会同盟(CSU)に加えて、ドイツ社会民主党と大連立を組んでいるのですが、CSUが離脱しかねない政局になっています。CSUは、難民の玄関口となった南部バイエルン州の保守政党で、61年間、同州の首相を輩出してきたのですが、難民排斥を唱える極右政党「ドイツのための選択肢」が台頭。10月に控える州議会選挙で大敗する危険性を感じたCSUは、内相を務めるゼーホーファー党首が、一部難民を国境で送り返すという方針を打ち出し、メルケル首相と激しく対立。EU首脳会談での成果を基に合意が成立したので、ゼーホーファー党首は内相辞任を撤回しましたが、火種は残ったままです。

l  安倍政権による外国人労働者の受入増大を背景に、人権派の方々は、従来以上に「難民受入」を主張すると思われますが、「反難民」に染まる世界情勢の下で人類愛を唱えても議論は迷宮入りしそうです。まずは、受け入れた外国人の人権を同等に尊重するという一点に絞って是正を実現すべきです。
フラグ, ドイツ, 国籍, 風が強い, フラッター, 黒 赤 金, ドイツ語
【Timely Report】Vol.198(2018.7.6)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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