移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

カテゴリ: アメリカ

l  4月21日、トランプ米大統領は、移民の米国への入国を一時的に停止する大統領令に22日にも署名すると表明しました。永住希望者を対象に60日間適用し、その後に延長を含め再評価する模様です。大統領は「新型ウイルスの影響で失われた米国民の職が、新たに流入した移民に取って換わられるのは間違いで不当だ。われわれはまず、米国の労働者を大切にしなければならない」と説明。「新たな移民に関するこの停止措置は、米国市民にとって不可欠な
を保護することにもつながる」と述べました。

l  新型コロナウイルスの感染拡大に対処するためのロックダウン(都市封鎖)などの影響で、米国は1ヶ月間に全就業人口の15%に相当する約2200万人が失業。失業率が20%に悪化するという予想もあるほどです。ただし、今回の措置では、人手不足に苦しむ医療と農業は対象外になる見通しのようです。

l  日本でも、外国人の解雇が相次ぐ一方で、実習生が来日できずに人手不足に苦しむ業界があるなど、失業の発生と労働力不足が併存しています。政府が舵取りを誤れば、日本でも「移民不要論」が高まる可能性が否定できません。

【Timely Report】Vol.668(2020.6.9号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
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l  米国土安全保障省は、不法に入国した可能性がある滞在許可証を持たない移民の発見に携帯電話の位置情報を利用しているようです。同省の下部組織である移民関税執行局(ICE)は、逮捕した不法移民の特定に役立てており、税関・国境警備局(CBP)では、メキシコとの国境にまたがる砂漠地帯など、不審な場所での携帯電話操作の監視に利用しているようです。

l  ICEとCBPは、携帯電話の位置情報を抽出できるソフトウェアのライセンス料として130万ドル(約1億4300万円)近くを支出。この位置情報は、ゲームや天気予報、電子商取引などのアプリを通じて収集されており、こうしたアプリにおいて、利用者は携帯電話の位置情報の記録を許可しています。

l  米国自由人権協会は、「国土安全保障省は、有償、無償の区別なく、令状なくして私たちの位置情報にアクセスするべきではない。令状を取らないということは、最も機密性の高い個人情報、特に携帯電話の位置情報の履歴などを取得する際、政府は相当の理由を裁判所に示す必要があるという最高裁判所の判例を軽視するものだ」と主張していますが、どうなるでしょうか。

【Timely Report】Vol.640(2020.4.24号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「入国・在留審査要領:コンビニは本当に単純作業?」も参考になります。
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l  ビザの厳格化に走るトランプ政権の下で、2017年度において米国の大学に入学した海外留学生の数は前年比▲6.6%。2年連続の減少です。1960年代前半、米国で学ぶ留学生はたった5万人でしたが、2015年には100万人を超える規模にまで成長。留学生が支払う授業料等は420億ドル(約47660億円)と言いますから、財務状況が悪化する大学が出てくるかもしれません。

l  留学生が米国を選ばない理由のナンバーワンは「留学ビザ」ですが、「米国に歓迎されていない感覚」や「米国における身体的安全」という指摘も多かったようです。それに加えて、トランプ政権は大学卒業後の「就労ビザ」も厳格化。超人気だったMBAですら敬遠されるようになってきました。

l  本来、日本の大学にとって千載一遇のチャンスになるはずですが、米国を敬遠した留学生が日本に流れるという見方は皆無。オーストラリアやカナダが一歩先んじる中、アジアでは、英オックスフォード大や米スタンフォード大とともに「世界のトップ30」に入ったシンガポール国立大と中国の北京大・清華大の人気が上昇中。日本の出番はどうもなさそうです。
痴呆, 警告, トランプ, ドナルド ・ トランプ, アルツハイマー, 老人性
【Timely Report】Vol.324(2019.1.10)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「トランプ大統領は二枚舌か?」も参考になります。

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幻に終わった「トランプの壁」 バイデン氏は建設中止を表明 どうなる不法移民対策【Yahoo News】

米国とメキシコの国境に建設された壁(米カリフォルニア州、2006年、筆者撮影)

4年前、不法移民対策の強化を掲げて米大統領になったトランプ氏。その不法移民対策の象徴となったのが、メキシコとの国境に建設を約束した「トランプの壁」だ。あれから4年。トランプ政権誕生の原動力となった壁の建設や不法移民問題は、今どうなっているのか。筆者の取材経験を踏まえながら、米国の不法移民問題を掘り下げてみたい。

「いつの日か『トランプの壁』に」

「我々は、南側の国境沿いに、美しく巨大な壁を建設する」「私は、今まで誰も見たことのないようなゴージャスな壁を建てるつもりだ。その壁は、いつの日か『トランプの壁』と呼ばれるようになるだろう」

前回2016年の大統領選で、威勢のよい発言を支持者に向けて繰り返したトランプ氏。公約通り、2017年1月に大統領に就任すると、直ちに大統領令を発し、壁の建設に取り掛かった。

米国とメキシコの国境線は約2000マイル(約3100キロメートル)。そのうちの約1000マイルは、川や峡谷、砂漠などが天然の壁となり、メキシコ側からの侵入を防いできた。問題は、残りの約1000マイルだ。

トランプ氏は前回の選挙戦で、「壁の建設代はメキシコに支払わせる」と豪語していた。しかし実際には、メキシコ政府が拒否したことから、建設費用の見積額150億ドル(約1兆5000億円)は、米国民の税金から捻出されることになった。

今月中旬、国土安全保障省の税関・国境取締局(CBP)は、壁に関する最新の数字を公表した。それによると、トランプ大統領就の任以来これまでに建設された壁の距離は、384マイル。以前から立っていた分と合わせると、壁の総距離は694マイルとなった。仮にトランプ氏が2期8年のスケジュールで「トランプの壁」の完成を考えていたとすれば、けっして悪いペースではない。

9割は建て替え

しかし、CBPのデータをよく見ると、384マイルの9割にあたる344マイルは、古くなったり壊れかけたりした既存の壁の建て替えで、何もなかった場所に新たに建設した壁は40マイルにすぎない。このため、多くの米メディアは、「4年間で新たに建設された壁は、たった40マイル」と冷ややかに報じている。

昔建てられた国境の壁の中には、とても壁とは呼べない粗末なものも多い。錆びて茶色くなった壁の向こう側にはメキシコの街が広がる(米カリフォルニア州、2006年、筆者撮影)
昔建てられた国境の壁の中には、とても壁とは呼べない粗末なものも多い。錆びて茶色くなった壁の向こう側にはメキシコの街が広がる(米カリフォルニア州、2006年、筆者撮影)

問題はそれだけではない。米メディアによると、不法侵入防止の目的とは裏腹に、トランプ政権下での壁の建設は、不法侵入が多い場所ではなく、工事に取り掛かりやすい国有地に集中している。不法侵入の発生件数が多いテキサス州の国境沿いの土地は、私有地が多く、地主の強い抵抗にあって壁の建設はほとんど進んでいない。

皮肉にも、メキシコと国境を接するカリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサスの4州のうち、テキサス州だけが今回の大統領選でトランプ氏を選んだ。

また、国境沿いは、ジャガーやメキシコオオカミなど絶滅危惧種を含む貴重な野生生物の宝庫で、壁の建設のためにダイナマイトやブルドーザーで生息地が荒らされたり、壁が大型の哺乳類の行動範囲を狭めて繁殖活動に悪影響を与えたりしかねないことに対し、自然保護団体などが強い懸念を表明している。

建設後に不法移民が急増

そもそも、壁の建設は不法移民問題の根本的な解決にはならない。壁がないから不法移民が増えるわけではなく、逆に、壁ができても不法移民が減るとは限らないことは、歴史が証明している。

米政府が、米国とメキシコとを隔てる壁の本格的な建設に乗り出したのは1990年代。だが、ヒスパニックと呼ばれる中南米系を中心とする不法移民の数はそれ以降、減るどころか、むしろ増加傾向をたどった。

民間調査機関のピュー・リサーチ・センターによると、米国内に不法滞在する移民の数は、1980年から1990年ごろにかけては、300万人から400万人の間で推移していたが、壁の建設が本格化した1990年代半ばから急増。2000年代前半には反不法移民の世論が高まったが、それでも不法移民は増え続け、2007年にはピークの1220万人に達した。

筆者は当時、日本の全国紙の記者として現地で不法移民問題を取材していた。当時の米国は、アリゾナ州の国境の街で、腰から銃をぶら下げた住民が自分たちで壁や柵の建設に乗り出すなど、反不法移民世論が極限まで達する一方、大都市では不法移民排斥に反対する大規模なデモが起きるなど、不法移民を巡る問題で社会が今以上に大きく揺れていた。

メキシコとの国境沿いに不法侵入防止のための柵を自分たちの手で建てようとしている住民(米アリゾナ州、2006年、筆者撮影)
メキシコとの国境沿いに不法侵入防止のための柵を自分たちの手で建てようとしている住民(米アリゾナ州、2006年、筆者撮影)

その後、2009年に不法移民に比較的寛容な民主党のオバマ政権が誕生したが、不法移民の数はその前年から減少に転じ、トランプ政権1年目となる2017年の1050万人まで、漸減傾向が続いた。2018年以降はデータがないため不明だ。

経済状況が左右

不法移民の増減を左右するのは、国境の壁ではなく、経済だ。不法移民は、仕事を求めて越境してくるからだ。米国にとっても、不法移民は今や、農業や製造業、建設業、サービス業など多くの業種で、なくてはならない貴重な労働力になっている。共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)は、「移民は米国人がやりたくない仕事をやってくれている」と述べ、不法移民に一定の理解を示した。

「メキシコ人はレイプ犯」などと平気で口にするトランプ氏も、裏では、所有する企業や自宅として使っているゴルフ場の宿泊施設で何人もの不法移民を長年にわたり雇い続けていたことが、2年前、ニューヨーク・タイムズ紙の取材で暴露された。同紙のインタビューに応じた中米グアテマラ出身の不法滞在の女性は、家政婦としての献身的な仕事ぶりがトランプ氏に高く評価され、ホワイトハウスから表彰されていた。

一般に、米国が好景気だったり、母国が不景気だったりすると、米国への不法移民の数は増える。2007年をピークに不法移民の数が減少に転じたのも、2008年のリーマン・ショックの影響で米国内の雇用情勢が悪化したことが大きな原因だ。また、メキシコからの不法移民が最近、減少傾向にあるのは、メキシコ経済が2010年あたりから順調に成長し続けていることが一因と言われている。そのメキシコに代わって米国への不法移民が増えているのが、貧困に苦しむエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの中米3国だ。

カネと時間の完全な無駄遣い

トランプ大統領は就任以来、壁の建設だけでなく、不法滞在者の摘発強化や難民認定の厳格化など、不法移民対策を一貫して強化してきた。にもかかわらず、国境沿いで身柄を拘束される不法侵入者の数は増減を繰り返しており、トランプ政権の政策が不法侵入に対し少なくとも効果的な抑止力になっていないことは明白だ。

壁が不法移民問題の根本解決にならないことは歴史が証明しているにもかかわらず、トランプ大統領が壁の建設にこだわったのは、壁が、同氏の熱烈な支持者である白人保守層に対する非常にわかりやすいメッセージとなりうるからだ。テレビの世界に長く身を置いたトランプ氏ならではの発想と言える。

バイデン次期大統領は、「トランプの壁」の建設中止を明言している。代わりに、中米に対する経済支援の強化などを通じて不法移民問題の解決を目指す方針だ。

25日付のワシントン・ポスト紙は社説で、トランプの壁は、自然環境破壊に加え、「不法移民の侵入防止に何の効果も挙げていない」と指摘し、「カネと時間の完全な無駄遣い」と断じた。

慶應義塾大学卒。米コロンビア大学大学院(ジャーナリズムスクール)修士課程修了。日本経済新聞生活情報部記者、同ロサンゼルス支局長などを経て、独立。食の安全、働き方、マイノリティ、米国の社会問題を中心に幅広く取材。著書に『アメリカ人はなぜ肥るのか』(日経プレミアシリーズ、韓国語版も出版)、『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(幻冬舎新書)など
https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20201229-00215139/

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l  米インターネット通販大手のアマゾンは、50億ドル(約5500億円)超を投じて、「第2本社」を建設し、最大5万人を雇用する予定です。誘致に計238の都市が名乗りを上げましたが、20都市までに絞られた候補地の中に、米国以外で唯一カナダのトロントが残りました。

l  カナダのトルドー首相は、「カナダではどんな宗教でも人種でも全てのバックグラウンドの人々を歓迎する」と強く主張し、多様性と多文化主義、オープンでフレンドリーなコミュニティーと移民政策を「カナダの強み」としてアピールしました。移民規制の強化に走るトランプ政権とは対照的に、カナダは有能な外国人材の受け入れに積極的で、ITに強い大学や研究所もあります。また、一定の技術力を持つ外国人材に対し、2週間以内に毎年制限なく発行される「就労ビザ(Global Skills Strategy Visa)」も導入しています。

l  移民にオープンだから豊富な人材も獲得が容易だとするトロント市長は、「トロントと同じ程の才能・高スキルに富んだ人材、同等の生活の質、活気、経済力を誇る都市は他にない」と語りました。さて、東京はどうでしょうか。
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【Timely Report】Vol.236(2018.8.30)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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