移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

カテゴリ: 日本社会

l  41日、法務省の外局として「出入国在留管理庁」が発足しました。外国人労働者の受け入れ拡大を推進する中で、司令塔的な役割が期待されています。山下法務大臣は開庁式で、「共生政策はわが国の将来像にも影響を与える重要なもの」と激励し、記者会見した佐々木長官は、「新しい時代に外国人との共生という、新しい社会をつくっていく」と意気込みを語りました。

l  ところが法令を見ますと、入管法第1条は、「本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする」から、「本邦に入国し、又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする」に改定されただけですし、法務省設置法第28条には、「出入国在留管理庁は、出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ることを任務とする」としか書かれていません。つまり、「出入国管理在留庁」の役割は、「管理」であって、「共生」などではないのです。リップサービスに騙されてはいけません。

【Timely Report】Vol.401(2019.5.9)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  2018年末時点の在留外国人数は273万1093人(前年比+6.6%)となり、過去最多を更新しました。政府は、在留資格「特定技能」の創設による就労拡大の新制度で、5年間で最大約34.5万人の受け入れを想定していますから、5年後には300万人の外国人が日本に住んでいることが予測されます。

l  300万人という規模は、第10位の静岡県(366万人)には届かないものの、茨城県(288万人)を超える水準であり、福井・徳島・高知・島根・鳥取の5県分に匹敵する人口ですから、今後、在留外国人をターゲットにした市場は、十分に魅力的な分野として認識されるでしょうし、さらなる拡大が期待されるだけに、数多くの企業が参入することになると思われます。

l  すでに株式市場では、「特定技能」の好影響を織り込んだ株価が形成されている節があり、在留資格制度や入管行政の実態を無視したお気楽なシナリオが数多く語られていますが、この市場は、入管法の悩ましさに加えて、外国人特有の難しさがあり、「上場企業だったら成功する」というほど楽ではありません。行き過ぎた楽観論に浮かれていると、後で痛い目に遭いそうです。

【Timely Report】Vol.411(2019.5.23号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
アベノミクスには期待できない!」も参考になります。

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l  2019年12月30日、前日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告は、「迫害から逃れる」として、日本を不法出国し、国籍を持つレバノンに入国しました。入管法は、日本を出国する際、空港などで入国審査官の確認を受けなければならないと規定しており(入管法第25条)、違反した場合は1年以下の懲役もしくは禁錮などの罰則が定めています(入管法第71条)。

l  今回の不法出国は、「罪を認めるまで釈放しない」という人質司法のドグマとその威力に頼りすぎているために、人権問題で釈放せざるを得なくなったときに、「釈放するけど逃亡させない」という工夫が足りなかったという話でもあります。ゴーン側が提案していた「アンクレット(GPS付きの足枷)を付ける」という条件を呑んでおけば、今回の不法出国は防げたでしょう。

l  じつはこれ、長期収容している外国人にも通じる話で、「国外退去を認めるまで出所させない」というドグマとその威力に頼り過ぎているから、人権問題で仮放免せざるを得なくなったときに、「仮放免はするけど悪さはさせない」という工夫がないのと同じ。入管もいまのやり方を再考すべきです。

【Timely Report】Vol.610(2020.3.12号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法違反:人質司法に屈しないために」も参考になります。
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l  日本に居住する外国人は年金制度に加入しなければならないのですが、年金を受け取るためには10年以上保険料を納める必要があります。納付期間が10年未満で出国する外国人に対しては、保険料の一部を支給する「脱退一時金」の制度が設けられているものの、支給上限は3年分まで。それ以上は保険料を納めても「払い損」になります。そこで、厚労省は、外国人が年金の「払い損」にならないよう制度を見直すと言い出しています。上限を5年に引き上げて、一時金を最大+67%引き上げるというのです。

l  この案は、「上策」ではありません。ほとんどの外国人にとって、年金は「謎」であり、手取り金額しか興味がないので、響かないからです。「脱退一時金」自体知られていませんし、手続が面倒なのでほとんど活用されていません。

l  それよりも、年金をしっかり支払ってきた外国人が、転職せずに同じ企業で在留期間更新を申請した場合、即日許可するという政策のほうが、外国人に響きますし、雇用主にもメリットがあるだけでなく、年金財政にもプラス。「司令塔」たる入管庁は、こういう響く政策を立案して実現すべきなのです。

【Timely Report】Vol.581(2020.1.31号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:外国人の社会保険をどうすべきか?」も参考になります。

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l  1979年にエズラ・ボーゲル教授が著した「ジャパン・アズ・ナンバーワン」がベストセラーとなり、日本的経営が賞賛され、「日本が世界を席巻する」と予測されていた時代がありました。2000年にルクセンブルクに次ぐ世界2位だった日本の一人当たりGDPは、2018年は26位。1995年に18%だった日本のGDPの対世界シェアは、今では6%の体たらく。

l  人口は国家の衰退を示すバロメーターであり、出生数の減少は「若者たちが国家の将来に夢を持てなくなったことの現れ」でもあります。政府は、健康保険の苦境を取り繕い、破綻寸前の年金財政を誤魔化し、若い労働力が致命的に枯渇しているのに移民を認めようとしません。若者の数が激減していく時代において、すべての企業が生き残ることは不可能ですから、変化についていけない企業が大倒産し、少なからぬ国民が窮乏化する時代が始まります。

l  古来から、危機が迫ってきたダチョウは頭を砂の中に突っ込むという迷信があります。そこから、危機を直視しようとしない対応は、「ダチョウ政策」と呼ばれるのですが、日本はすでにダチョウになっているのかもしれません。

【Timely Report】Vol.608(2020.3.10号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「経済政策:日本人の人口はもう増えない?」も参考になります。

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