移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

カテゴリ:日本社会 > 犯罪・排外主義

l  1月28日、日本政府は新型肺炎を「指定感染症」に指定しました。これで、入国を拒否する体制が整います。それまでは、体調不良の人に自己申告するよう促す健康カードを配布したり、発熱等の症状の有無や連絡先を記載する質問票を配るだけでしたから、自主申告がなければ、入国し放題でした。

l  じつは、入管法第5条第1項第1号は、「指定感染症」だけでなく、「新感染症」についても入国拒否ができる建付けになっています。つまり、「指定感染症」でなくとも、「新感染症」と解釈すれば入国拒否できたのです(要医師の診断)。しかも、入管法第7条第2項は、「上陸のための条件」に適合していることの立証責任を外国人に課していますから、入国を希望する外国人に対して、「新感染症である新型肺炎に罹患していないこと」に関する立証を求めることは、「指定感染症」に指定される前でもできないわけではない。

l  無論、入管からすれば、「それは厚生労働省の仕事であって、入管の責任じゃない」ということなのでしょうが、そういう「縦割り行政の問題」を解決するために、「司令塔」としての入管庁を新設したはずです。

【Timely Report】Vol.619(2020.3.26号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「入管行政:SNSの友人で入国拒否する?」も参考になります。
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l  8月22日、国民健康保険の出産育児一時金を不正に受給したとして、ボリビア人男女が逮捕されました。女性が、ボリビアで3つ子を出産したように装い、2017年5月に千葉市内で偽造した出生証明書など虚偽の申請書を提出して、出産育児一時金121万2000円を騙し取っただけでなく、同年6月、群馬県太田市で同じ手口で出産育児一時金を騙し取ろうとしたようです。

l  出産育児一時金は、国民健康保険などの被保険者が出産したとき、1児につき42万円が支給されるもの。男性は、8月1日、別のボリビア女性と共謀して、同じ手口で、大阪府内の自治体から約126万円を騙し取った疑いで逮捕されていました。男性は、外国文書の翻訳や書類作成代行を営んでいる日系人で、南米系コミュニティの「ボス」として知られており、同様の事件に約40件関与して、2000万円以上を詐取したと見られています。

l  こういう事件があると「外国人は危ない」という短絡的な話になりがちですが、同種の詐欺の首謀者は外国人に限りません。外国人を過度に美化せず、かつ、過度に危険視せずに、「そこにある現実」として共生を探るべきです。

【Timely Report】Vol.537(2019.11.26号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:根拠もないのに外国人排斥」も参考になります。


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l  日産自動車の会長であり、ルノーや三菱自動車をも束ねていたカルロス・ゴーン氏が逮捕されてから1ヵ月が経過しました。報酬の虚偽記載については、「支払は確定しておらず、期待権にすぎないため、記載義務はない」「類似の役員退職慰労金を開示している日本企業はない」「投資家の判断に大きな影響を与える重要事項とは言えず、虚偽記載といえる水準にない」など様々な議論がありますが、それらは専門家と今後の成り行きに任せるとして、この事件が海外からどう見えるかについては留意しておく必要があります。

l  基本的人権を重んじる国であれば取り調べた後に保釈するのにクリスマスさえ家族と過ごせない。「推定無罪」という近代法の基本原則すら無視する。こういう野蛮な手法は、日本人には日常の風景ですが、海外の人々は「日本は、外国人を排斥しイジメる国だ」と捉えることでしょう。

l  政府は「高度な能力を持つ外国人に来てもらいたい」と言いますが、それらの人材に対して、基本的人権すら保障できないのであれば、「選ばれる国」になれるはずもありません。そういう視点がないのが一番の問題なのです。
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【Timely Report】Vol.314(2018.12.20)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
「攘夷派」の反撃が始まる!」も参考になります。

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l  2019年321日、イチロー選手が引退を発表しました。会見で「アメリカでは僕は外国人ですから。このことは外国人になったことで人の心を慮ったり、痛みが分かったり、今までなかった自分が現れたんですよね。体験しないと、自分の中からは生まれないので、孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだよと今は思います」と語ったことが話題となり、SNSでは、「人生に一回はマイノリティーの立場を経験してみるのが良い」など支持する投稿が相次ぎました。

l  異国に行けば、日本人は「外国人」です。移民問題を議論する際には、「異国で自分がどのように扱われたいのか?」という視点が欠かせません。そういう見識を身に付けていないと、移民に断固反対しておきながら、「もし日本が戦争になれば、私は家族を国外に逃がしたい。日本が崩壊すれば、子供達はそのまま外国で暮らせばいい」などという身勝手な論理を振り回す評論家や、差別発言を吐いた世田谷年金事務所所長を容認することになってしまいます。イチローが語った言葉を大切にしていきたいものです。

【Timely Report】Vol.393(2019.4.19)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  2019年12月30日、前日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告は、「迫害から逃れる」として、日本を不法出国し、国籍を持つレバノンに入国しました。入管法は、日本を出国する際、空港などで入国審査官の確認を受けなければならないと規定しており(入管法第25条)、違反した場合は1年以下の懲役もしくは禁錮などの罰則が定めています(入管法第71条)。

l  今回の不法出国は、「罪を認めるまで釈放しない」という人質司法のドグマとその威力に頼りすぎているために、人権問題で釈放せざるを得なくなったときに、「釈放するけど逃亡させない」という工夫が足りなかったという話でもあります。ゴーン側が提案していた「アンクレット(GPS付きの足枷)を付ける」という条件を呑んでおけば、今回の不法出国は防げたでしょう。

l  じつはこれ、長期収容している外国人にも通じる話で、「国外退去を認めるまで出所させない」というドグマとその威力に頼り過ぎているから、人権問題で仮放免せざるを得なくなったときに、「仮放免はするけど悪さはさせない」という工夫がないのと同じ。入管もいまのやり方を再考すべきです。

【Timely Report】Vol.610(2020.3.12号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法違反:人質司法に屈しないために」も参考になります。
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