移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

カテゴリ:日本社会 > 犯罪・排外主義

l  日本で働く外国人労働者の賃金は、国内全体の平均よりも3割弱低いことが分かりました。フルタイムで働く外国人の賃金は、残業代等を除いた月額の平均で223,100円。国内全体平均が307,700円ですから、84,600円下回っています。この主因は、外国人労働者の勤続年数が平均3.1年に過ぎず、一般労働者の12.4年との差が大きいとされていますが、実態としては、「技能実習」の影響が大きいと見るべきでしょう。「技能実習」の賃金は156,900円にすぎず、一般労働者全体の半分ほどにとどまっているからです。

l  その一方、「技術・人文知識・国際業務」などを含む「専門的・技術的分野」の賃金は月額324,300円で、日本人を含む正社員全体(325,400円)とほぼ同水準であり、該当する外国人の勤続年数が2.7年にすぎず、正社員全体が13年であることに鑑みれば、外国人の方が賃金水準は高いとさえ言えます。

l  外国人の賃金水準を押し下げているのは、外国人差別ではなく、「技能実習」という制度的な要因が主なのですから、「技能実習」ではなく、「技術・人文知識・国際業務」による外国人雇用を推進していくことが望まれます。

【Timely Report】Vol.659(2020.5.27号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
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l  日本政府が、外国人や外国資本の企業による国内での土地取得を制限する検討を始めたという報道がありました。米軍や自衛隊の関連施設、原子力発電所の周辺など安全保障上の懸念がある地域などを対象に事前審査などを求めるという内容のようです。現在、日本国内の土地は原則として誰でも取引できますが、安全保障の観点から一部の土地取引の監視を強めるといいます。

l  「中国人が北海道に持っている土地面積は静岡を超える」などと世論を煽る攘夷派は少なくなく、現行法による不動産の国家管理には不備があるとして、6月の「骨太の方針」で、外国人による土地取得の制限について触れ、新法の制定を進めるという流れになると思われます。

l  安全保障への関心が高まること自体は良いことだと思いますが、排斥に力点を置きすぎると、海外から見た日本の魅力を減殺してしまうことになりかねないため、改正外為法で対内投資に規制を掛けたときのような実務的な配慮が欠かせません。必要不可欠な措置に絞り込む一方で、今回の新型肺炎患者の入国拒否のようにやるべきときは果断に実行することが求められます。


【Timel
y Report】Vol.631(2020.4.13号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「入管行政:不法上陸は武力で阻止する?」も参考になります。
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l  厚生労働省は、外国人労働者の受け入れが拡大することに伴い、健康保険から給付を受けられる扶養家族について、日本国内に居住していることを原則とする方針を明らかにしました。現行制度では、外国人労働者の扶養家族が日本に生活の拠点がなくても健康保険から給付を受けられましたが、自由民主党内で「医療費が膨張する」「保険にただ乗りされる」との懸念が表明されたため、国内居住を要件に加えた上で、市町村が、加入者の資格の取得や失効について企業や語学学校に確認できるようにする方針です。

l  この問題に関しては、市区町村が昨年1月から窓口で確認する態勢に移行しましたが、昨年5月末時点までに入管への通報件数は2件にすぎず、身分を偽る不正は確認できませんでした。また、昨年4月時点の外国人の国保加入者は、全加入者の3.4%(99万人)である一方で、彼らが国内で使った医療費は0.99%(961億円)にすぎません。海外での療養費においては34.7%を占めるものの、金額は1.7億円に過ぎず、年々減少しています。事実を踏まえない思い込みだけで、諸政策が決められていくことに危惧を覚えます。

【Timely Report】Vol.378(2019.3.29)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
観光頼みには限界あり!」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

1.       外国人犯罪に関する報道が増えています。2016年の統計で確認してみましょう。犯罪被疑者90.3万人のうち外国人は2.1万人で、外国人比率は2.3%。ただし、入国管理法違反で罪に問われている人が0.4万人いますから、実質的に1.7万人と考えれば、外国人比率は1.9%になります。日本に在留している外国人の人数は、全体の人口の1.8%ですから、ほぼ人口比に応じた数字であると評価することができないわけではありません。

2.       しかし、個別の犯罪における外国人比率に目を転じると、典型的な外国人犯罪とも言える入国管理法違反(84.4%)、関税法違反(23.0%)、風営法違反(20.4%)、売春防止法違反(18.0%)、商標法違反(14.3%)はともかくとして、盗品等関係(8.3%)、強盗致死傷(7.0%)、強盗(5.6%)、殺人(5.6%)、薬事関係(5.5%)、傷害(5.3%)、窃盗(4.5%)、強姦(4.5%)が目を引きます。この数字を見ると、「外国人を受け入れると犯罪が増える」という入管や警察の主張を退けることは困難であり、日本では「外国人労働者を大々的に受け入れるべき」という議論にはならないと考えた方がよさそうです。
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【Timely Report】Vol.16(2017.9.4)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  新型コロナウイルスの感染拡大は、世界各地でゼノフォビア(外国人嫌悪)とレイシズムの広がりを招いています。米国や欧州では、かつての黄禍論を想起させるアジア人差別が横行しており、アジア系であるという理由だけで暴行を受けるというヘイトクライムも少なくありません。

l  日本も同じ。「感染者の3割が外国人」などといった誤った情報がTwitterで広まり、元々あった「国民健保タダ乗り論」を煽りました。在日外国人との交流施設である「川崎市ふれあい館」を爆破することを予告する年賀ハガキが送りつけられ、埼玉朝鮮初中級学校幼稚部に対するヘイトスピーチが昂ぶりを見せています。「中国人お断り」の張り紙を提示する商店が現れ、横浜市の老舗中華料理店には「出ていけ」と書かれた手紙が送りつけられました。クルーズ船のウイルス感染者を藤田医科大岡崎医療センターに受け入れた際、「外国人に税金を使うな」という抗議電話が愛知県庁に相次ぎました。

l  新型コロナウイルスは人種も国籍も選びません。しかし人々は、新型コロナウイルスを契機に、人種と国籍の間に分厚い「心の壁」を築いてしまいます。

【Timely Report】Vol.661(2020.5.29号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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