移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:コロナ

l  2010年、民主党政権は「難民申請すれば認定されなくても6ヶ月後から就労できる」という緩和策を断行し、年1000人前後に過ぎなかった難民申請を20,000人近くに急増させ、「偽装難民問題」を引き起こしました。そして入管は、この異常事態を正常化するために概ね10年の歳月を費やしました。

l  いま入管は、コロナ禍の中で、「観光客であっても就労できる」「帰国できないと言えば在留できる」「個人の事情ではなく、地域の特性で難民認定する」という2010年を超える大幅緩和を断行し、現在も継続しています。しかし、民主党政権のときと同様、一貫した哲学や確固とした方針や徹底された規律は見受けられません。在留資格制度が易きに流れれば、外国人が安易な方向に流れることは、これまでの経験で幾度も証明されています。

l  正常化への取り組みが遅れれば遅れるほど、正常化が達成されるまでに必要な歳月は加速度的に増えていきます。やり方に失敗すれば、「偽装難民問題」の解決に要した以上の歳月が必要になるかもしれません。しかし、着任した古川法務大臣も選挙間近でご多忙の身。正常化への着手は難しいかも・・・。

Timely ReportVol.8422021.10.07号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report



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l  2019年10月1日現在の日本の総人口(外国人を含む)は、前年比27万6000人減の1億2616万7000人で、9年連続の減少となりました。減少人数は過去最大で、減少率(▲0.22%)も最も大きくなりました。15~64歳の生産年齢人口(7507.2万人)の割合は59.5%と過去最低となり、37.9万人減るなど労働力不足が鮮明となっています。65歳以上の高齢者の割合は28.4%で過去最高を更新しました。日本人(1億2373.1万人)が48.7万人減る(▲0.39%)一方で、外国人(243.6万人)は、21.1万人増えました(+9.48%)。

l  少子高齢化の流れは止まることがなく、その速度は加速しています。そして、高齢者を支える若者は、従来以上に減少し続けています。その衝撃をなんとか緩和しているのは、実習生を含む外国人の若者たちです。

l  新型コロナウイルス問題で来日が困難となり、予定していた実習生が来なくなった農業や介護では悲鳴が上がっています。入管もその声を無視することはできず、実習生の計画外の作業や事実上の転職を認める異例の判断を下しました。非常時が終焉した暁には、実習制度の改革を考えるべきでしょう。

【Timely Report】Vol.664(2020.6.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
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  • 大手就職情報会社の調査によると、外国人留学生が7月時点で内定を得た人の比率は31.5%で国内学生(77.7%)の半分以下。就活の難易度については「とても厳しい」(44.9%)と「やや厳しい」(40.2%)を合わせて85.1%が「厳しい」と回答。一方、国内学生で「厳しい」と答えたのは59.8%でした。
  • 留学生が就活を始めた時期は「4年生の4月」(17.2%)が最多で、3月を合わせると47.2%に達することに着目し、就活の開始時期が遅れたことや、エントリー社数(22.5社)が国内学生(29.2社)よりも少ないことが、内定獲得の遅れに影響したと分析していますが、表層的な見方と言えるでしょう。
  • コロナショックに揺れる大企業ではリストラが増えており、内定を獲得した国内学生だって内定解消の憂き目に遭うかもしれません。正社員に関する有効求人倍率は0.79倍(7月)とすでに1.0倍を割り込み、4年前の水準に戻っています。リーマンショックの時は、雇用に悪影響が明らかに出始めたのは3~4ヶ月後でしたから、悪化するのはむしろこれから。来春の雇用情勢は、残念ながら真っ暗となっている可能性が否定できません。

    【Timely Report】Vol.717(2020.9.2)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


    BLOG記事
    偽造在留カードが1500枚!」も参考になります。

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8月28日、茂木外務大臣は定例記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大防止策として実施していた在留外国人の入国制限に『科学的な合理性』があるかと尋ねた外国人記者に「What do you mean by scientific?」と英語で聞き直した。「日本語でいいです。ばかにしなくても大丈夫です」と抗議した記者に対し、茂木氏は「ばかにしてないです」「日本語、分かっていただけましたか」などと応じ、「差別的ではないか」との批判が出ています。

l  個人的には、「茂木大臣は大人げないなぁ」と思う一方で、入管行政に対して「科学的な合理性」を求める人たちに対しても、「それって、期待しすぎでしょ」とツッコミたくなります。というのは、個別審査の現状を見れば、個々の入国審査官の裁量が大きすぎて、科学的な合理性どころか、ガイドラインとの合理性や整合性すら期待できないのが実態だからです。【p5~p10】

l  その意味では、茂木大臣が最後に放った「出入国管理の問題ですから、出入国管理庁にお尋ねください。お分かりいただけましたか。日本語、分かっていただけましたか」という発言は、簡にして要を得たものだと言えるかも。

【Timely Report】Vol.719(2020.9.7号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「製造業派遣は実刑になるのか?」も参考になります。

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l  オーストラリアでは、主要都市における人口集中を避けるため、地域を限定して、就労できる在留資格を設けています。人口増加の70%が起きているシドニー・メルボルン・ブリスベン以外での移住を促す政策です。45歳未満であることや、特定の職業に就き、当該職業で3年以上の実務経験があることなどが要件となっています。このビザを取得すると、5年間の滞在が可能になることに加え、当該地域で3年居住し、就労したことが証明できれば、地方で永住できるビザの申請資格を獲得することもできます。

l  現在、日本の入管行政は、観光客であっても帰国困難であれば就労が可能になるなど、「何でもあり」の状況になっています。ただし、逆説的に言えば、「コロナ後のあるべき在留政策」を展望して、今から体系的・段階的な対処を準備すれば、在留資格の体系を円滑に再整備するチャンスでもあります。

l  現行の入管行政の建前を飛び越えて、観光客まで就労ビザを与えた現状を平常時に戻していく局面では、十分な配慮と綿密な作戦が必要です。オーストラリアが導入している「地域限定ビザ」は一考の価値があります。

【Timely Report】Vol.7622020.12.21号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法違反:日立だったら送検されない?」も参考になります。


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