移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:トランプ

l  コロナ恐慌に直面し、各国では、「排外主義」が台頭する気配が漂っています。自国民の失業が爆増している中で、「移民が職を奪っている」というメッセージは人々の心に染みとおりやすく、格好のターゲットになりがちです。気を見るに敏なトランプ米大統領は、移民受入の一時停止をぶち上げました。

l  ところが一夜明けると、「短期滞在の外国人は影響を受けない」「例外を設ける」とトーンダウン。米国経済は移民に支えられている部分が少なくなく、農業やIT業界への配慮が求められたようです。また、コロナで表面化した医療危機に関しても、フィリピン人看護師の入国を妨げてきたトランプ政権の入管政策が悪影響を及ぼした(入国拒否5%→50%)とする声があります。

l  甲論乙駁が続くオーストラリアでも、移民の減少が人口増に依存する業界や事業モデルを破綻に導き、経済に大きなダメージを与えるだけでなく、税収にも大きくマイナスに働くとの指摘があります。各国の政策は、「移民排斥」の色彩を帯びるようになるでしょうが、一つ過てば、将来の成長の糧を失う結果をもたらしかねません。深い洞察に基づく判断が必要です。

【Timely Report】Vol.674(2020.6.17号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
異論・反論大歓迎ですので、是非、下記のコメント欄に、コメントをお寄せください。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ http://nfeakeizai.blog.jp/
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ 
http://nfeaimin.blog.jp/

l  ドナルド・トランプ米大統領が、大統領令によって、米国で生まれた子どもに自動的に市民権を与える『出生地主義』を転換させるという考えを表明しました。市民権を得た移民が祖国の親族を呼び寄せる「移民の連鎖」を断ち切るとして、大統領選時から唱えてきた考えです。

l  日本は、トランプ氏が理想とする「国籍制度」である「血統主義」を採用しています。このため、日本国籍を取得するには、父か母かが日本人でなければならず、しかも外国で生まれた場合は一定の手続きを取らないと日本国籍を取得することができない仕組みになっています。「国籍」というものは生まれながらにして世界共通に決まっているものだと思いがちですが、じつは、各国が定めている「国籍法」の内容によって大きく変わり得るのです。

l  日本の「国籍法」は、二重国籍を認めていません。その一方、OECD諸国の圧倒的多数が二重国籍を認めています。また、海外に出て行った元自国民をつなぎ留める動きも顕著に見られます。入国管理法の議論が活発化していますが、同時に「日本人とは何者か」という根源的な議論が求められています。
日本, 大阪, 泊, アジア, ランドマーク, 旅行, アーキテクチャ, 文化
【Timely Report】Vol.290(2018.11.14)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「トランプ大統領は二枚舌か?」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
外国人に関する経済学を知りたい方は ➡ 外国人経済研究所 へ

l  日本においてトランプ米大統領は「悪役」です。トランプ氏の支持者はほとんどテレビに出てきませんし、ポジティブに評価する専門家にもお目にかかりません。流されてくるニュースはネガティブな内容ばかり。ところが、直近の世論調査によると、トランプ大統領の支持率は45%と就任以来最高になったと言います。マスコミ情報を鵜呑みにするのは危険です。

l  「米キニピアック大による世論調査」に関する75日の報道を例に取りましょう。まずは、時事通信。「半数が『トランプ氏は人種差別主義』移民政策に厳しい目」という見出しを掲げ、「米国民の49%がトランプ大統領を『人種差別主義者』だと答え、そう思わないとする47%を上回った。中米からの不法入国者に対する厳しい取り締まりや、イスラム圏一部諸国からの入国制限を進めるトランプ氏に、厳しい目を向ける国民が多いことを示した。トランプ氏の移民政策に対する支持率は39%で、不支持の58%を大きく下回った。親子が引き離されて収容された問題への対処では、60%がトランプ氏の政策を支持しないと回答した。国境で親から引き離された子供について表す言葉を挙げてもらったところ、『悲しい』『恐ろしい』『悪い』『間違っている』など否定的感想が上位に並んだ」と報じました。トランプ氏はボコボコです。

l  その一方、共同通信は、「トランプ氏の移民政策、世論半々『誠実』『差別』」と総括した上で、「メキシコ国境を越え不法入国した移民親子を分離収容するなどのトランプ米政権の移民政策に関し、トランプ大統領の動機は『国境管理のための誠実な関心』からと考える人が50%、『人種差別的信条』が理由との回答が44%で、ほぼ半々の結果になった。党派別では、与党の共和党支持者の90%が『誠実』、野党の民主党支持者の80%が『人種差別』と答え、分断色が鮮明に。無党派層は『誠実』48%対『人種差別』45%と拮抗した」と指摘しています。どうも、こちらのほうが真実に近いようです。

l  要するに、共和党支持者はトランプ大統領を支持するけれども、民主党支持者は支持しないという至極当たり前の結果が出ただけ。マスコミでは、トランプ氏の移民政策を批判して「自由の女神」に登った女性などが話題になりがちですが、事実を厳密に抽出しないと判断を間違えます。移民問題は感情論に流されやすい事案です。メディアリテラシーを高めることが肝要です。
痴呆, 警告, トランプ, ドナルド ・ トランプ, アルツハイマー, 老人性
【Timely Report】Vol.212(2018.7.27)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「トランプ大統領は二枚舌か?」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
外国人に関する経済学を知りたい方は ➡ 外国人経済研究所 へ

l  中米ホンジュラスから米国を目指し、数千人規模のキャラバン(移民の集団)が徒歩で北上を続けています。ホンジュラスは、ギャングと麻薬密輸が横行する国で国民の多くが貧困に喘いでおり、米国で働き祖国に仕送りすることを夢見ています。これに対し、トランプ大統領は、国境に5200人の軍隊を派遣し、「米国への入国は許可されない」と言明。米軍部隊がキャラバンに発砲する可能性について「そうならないことを願っている」と述べる一方、群衆が投石等をした場合は「銃器による攻撃とみなす」と警告しました。

l  思い出されるのは、昨年923日に麻生財務相が、朝鮮半島有事で難民が日本に押し寄せた場合の対応について、「武装難民かもしれない。警察で対応できるか、自衛隊の防衛出動か、射殺ですか。真剣に考えた方がいい」と述べたときに沸き起こった猛反発。トランプ大統領は「キャラバンに対して発砲するかもしれない」と示唆しているわけで、麻生氏の指摘と何ら異なりません。「入国管理」という政策を、「人道主義」のきれいごとだけで語ることは非現実的だという「現実」を直視すべきです。
ギャング スター, 刑事, ギャング, 危険, 犯罪
【Timely Report】Vol.282(2018.11.5)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「トランプ大統領は不人気なのか?」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
外国人に関する経済学を知りたい方は ➡ 外国人経済研究所 へ

l  中米諸国から米国を目指す移民集団が数千人規模でメキシコに接近。1月20日、メキシコ国境警備隊は催涙弾による撃退を図り、国境を突破した500人については、翌日、400人以上の身柄を拘束し、出身国に送還しました。メキシコはトランプ米政権に対し、不法移民対策を約束するかわりにメキシコ製品への関税賦課を免れており、不法移民への強い姿勢を示した格好です。

l  また、トランプ政権は、公的支援に頼る移民によるビザやグリーンカードの取得を制限する新たな規制を発付。訴訟に発展して論議を呼んでいましたが、1月27日、米最高裁は、これを当面認める判断を示しました。

l  1月23日、さらにトランプ政権は、出産のために観光ビザを使って米国を訪れようとする人へのビザ発給を拒否する方針を発表。米国籍の獲得を目的とした「バースツーリズム(出産旅行)」を抑制します。米国は「出生地主義」制度を採用しており、米国で生まれた子に米国籍を付与していますが、この制度を活用すべく、わが子の米国籍取得を目的とした中国人やロシア人の妊婦が続々と入国。米国における移民排斥の動きはしばらく続きそうです。

【Timely Report】Vol.623(2020.4.1号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「海外事情:一斉摘発で親子が離れ離れ?」も参考になります。
異論・反論大歓迎ですので、是非、下記のコメント欄に、コメントをお寄せください。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ http://nfeakeizai.blog.jp/
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ 
http://nfeaimin.blog.jp/

↑このページのトップヘ