移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:ヨーロッパ

l  移民の議論になると、「ヨーロッパを見ろ。悲惨じゃないか」と声を荒げる人たちがいますが、単純に日本と比較できない背景もあります。

l  19世紀、ヨーロッパ列強は競うように植民地を拡大し、アジアやアフリカの多くの地域を植民地にしました。そして、現地の事情を鑑みることなく、勝手な都合で国境線を引きました。その蛮行が各地での紛争の発端となり、難民を輩出して、かつての宗主国へと向かう人々の波を引き起こしています。つまり、ヨーロッパの「移民問題」は、純粋な「経済移民」による問題というわけではなく、根深い「歴史問題」でもあるのです。すなわち、ヨーロッパにおける難民受容性の高さは、ある意味で、帝国主義時代の贖罪ともいえるわけで、人道主義の実践という側面だけで語れる善行ではないのです。

l  複雑なヨーロッパの事情と比べれば、日本の「移民問題」は、純粋な「経済移民の問題」だと言えなくもありません。したがって、ヨーロッパの後追いになると短絡的に決め付ける必要はないのです。ただし、「いわゆる移民政策ではない」と言うだけで、欧米の失敗を研究しないようではダメでしょう。

【Timely Report】Vol.636(2020.4.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「国際情勢:スウェーデンも反移民に転じる?」も参考になります。
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l  2月下旬に、安倍首相が外国人労働者の受入拡大をぶち上げたことを契機に、「移民に関する議論」が俄かに論壇を彩るようになってきました。渋々であれ、積極的であれ、現実的には「移民受入」は致し方ないという世論が優勢という感じもしますが、「いわゆる移民は受け入れない」という建前を崩さないままだと、ズルズルと外国人が増えることになります。そうなると、本来必要な日本語教育や社会規範の修得を国として講じることができません。

l  この「ズルズル移民」は、日本の専売特許ではありません。ヨーロッパ各国も、「我々は移民国家ではない」という建前の下で「一時的な出稼ぎ労働者」を大量に受け入れてきました。その結果、無秩序にズルズルと定住者が増え、社会の分断や階層化をもたらし、それが澱のように積み重なって、移民地域のゲットー化を引き起こし、ホーム・グロウン・テロリストを産み出す土壌を育んだのです。ヨーロッパを引き合いに出して移民反対を唱える人もいますが、そうであれば、「外国人の完全排斥」を唱えるべき。今のような「ズルズル移民」だと、ヨーロッパと同じ運命を辿ることになります。
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【Timely Report】Vol.128(2018.3.27)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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