移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:不法就労助長罪

l  毎年6月は「不法就労外国人対策キャンペーン月間」として、入管法違反が集中的に摘発されます。今年も関連記事が紙面を賑わしました。中でも驚いたのは、偽造在留カードを所持していた不法残留者を大阪入管の要請で雇った人材派遣会社の中国人社長が、兵庫県警に逮捕された事件です。しかしながら、皆さんの周りでも、類似の事件は十分に起こり得ます。

l  先日、弊協会会員の親族Aが、短期滞在で来日していた友人Bに、家業を手伝ってもらっていたところ、Bが傷害事件を起こして、警察に逮捕されてしまいました。警察が調べたら、Bが不法残留であることが判明したため、Aは警察署に呼び出されました。何と驚いたことに、任意の取り調べで、AがBの手伝いに対して金銭を渡していなかった事実を知った警官が、「それは良くない。すぐに給料を支払ったほうがよい」と指導したというのです。

l  金銭を支払ったら、不法就労助長罪が成立します。Aの親族である会員から連絡を受けた弊協会は弁護士を紹介しましたが、Aはもう少しで警察に騙されるところでした。悪質な警官が出てくるのは、映画だけではないのです。

【Timely Report】Vol.479(2019.8.29号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
留学ビザは締め上げられる?」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
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l  厚生労働省政務官の上野宏史衆議院議員が、人材派遣会社「ネオキャリア」が申請する外国人労働者の在留資格を巡り、法務省に口利きし、その見返りに金銭を求めていたというスキャンダルが発覚しました。非難の矛先は上野政務官に向かっているようですが、「斡旋利得罪」の適用は、かなり難しいと思われます。というのは、政治家からの要望があったとしても、法務省官僚は「適切に処理しておきます」と言うだけで、現場にその指示を下すことはないでしょうし、実態としても、入管が言われたからと言って、早く処理するなどということは考え難いからです。いずれにせよ、法務省官僚は、「政務官からは、法律に基づいて適切に処理するように依頼はあったが、特別な対処をお願いされたことはない」というだけでしょうから、それ以上の追及は困難です。

l その一方、入管法の観点から見ると、問題がありそうなのは「ネオキャリア」です。もしも、報道された内容が正しいとすれば、全国の飲食店やドラッグストアなどに派遣する外国人187名について、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得できるように依頼して上野政務官に依頼していたのではないかという疑いが残るからです。仮に上野政務官に依頼していたとしても、先ほど述べたように、「斡旋利得罪」という線を立証することはかなり困難だと思われますが、問題はそこではなくて、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で自社の社員として許可された外国人を、飲食店やドラッグストアに派遣していたのではないかという疑いのほうです。

l   外国人観光客が対象の免税店への派遣であればともかくとして、飲食店やドラッグストアに、「技術・人文知識・国際業務」の外国人を派遣していたとすれば、かなりの高い確率で入管法違反に相当します。雇用した飲食店が、自分の店舗で「現場研修」として業務に就かせることは合法ですが、派遣社員が飲食店で就業する場合、「研修計画」などが事前に整備されて、復帰期限が明示されており、本人に対して明確に通知されていない場合、違法である可能性が極めて高くなります。つまり、これは、「ネオキャリア」の関係者が不法就労助長罪で検挙されてもおかしくない大事件なのです。マスコミは、上野政務官の斡旋利得に喰い付いているようですが、本当の意味で問題なのは「ネオキャリア」の不法就労助長罪なのです。

l  しかも、報道に対してネオキャリアは、人材派遣会社は、“口利き”について、『依頼した事実はない』と取材に回答」(テレ朝)とか「人材派遣会社は、『口利きの依頼、金銭のやりとりはない』と否定」(TBS)などと全面的に否定しています。しかし、週刊文春は、「上野事務所にはネオ社から在留資格申請中の外国人187人分のリストが送付されており、それに基づいて法務省に問い合わせを行っていたことも判明した」と明言していますから、明らかな矛盾があります。この事件は今後の展開から目が離せません。



BLOG記事「入管法違反:政治家の口利きでビザを許可する?」も参考になります。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
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l  4月15日、専門職の在留資格で入国させたベトナム人を工事現場に派遣し資格外の単純労働をさせたとして、入管難民法違反(不法就労助長)の罪に問われた事件の判決があり、懲役1年の実刑・罰金100万円が言い渡されました。被告は起訴内容を否認しましたが、裁判長は、斡旋した人材派遣会社役員とのメールのやりとりなどから「不法就労するという認識があったと強く推認される」として退け、「外国人の適正な管理を害する犯行で悪質性は軽視できない」と指摘しました。問われたのは、人材派遣会社役員と建設会社元役員と共謀して昨年2~8月、在留資格「技術・人文知識・国際業務」でベトナム人3人を入国させ、資格外の土木作業員として就労させた罪です。

l  「たった3人」と言うと怒られそうですが、この判決が厳格に適用されるのであれば、「技術・人文知識・国際業務」の外国人を工場等に10人以上派遣している大手業者は、実刑を免れないという話になります。派遣した就業場所が土木作業の現場か工場のラインかという違いはあるにせよ、「外国人の適正な管理を害する犯行」であることに違いはないからです。

【Timely Report】Vol.416(2019.5.30号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「取り調べの罠に気を付けましょう!」も参考になります。

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l  2月15日、外国人留学生に在留資格の虚偽申請をさせ、不法就労させたとして、川崎市の会社員と、会社員が実質的に経営していた人材派遣会社の元社員ら計5人が不法就労助長の疑いで逮捕されました。通訳として働くとして申請したにもかかわらず、倉庫や介護施設で働かせていたという容疑です。

l  「ウチには関係がない話だ」と思われるかもしれません。しかし、入管法には至る所に「違反」の落とし穴があります。例えば、「特定技能1号」では転職自由なのですが、同業他社で働いているその資格の保有者が、あなたの会社の求人に応募してきたとします。同業他社なので、「特定技能1号」の場合、転職自体に問題はありません。面接したところ、良い人材だったので、内定を即決。そうしたら、「すぐにでも御社で働きたい」というので、翌週から就労してもらいました。この手続に何か問題はあるでしょうか。

l  じつはこれ、不法就労助長罪に相当します。というのは、「特定技能1号」の外国人が転職する場合、入管に対して在留資格の変更を申請して許可をもらわなければ、転職先での就労が許されないからです。気を付けましょう。
警察, 逮捕, 拘留, 手錠, 犯罪, 警察の使用法

【Timely Report】Vol.346(2019.2.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:受入コストは誰が負担する?」も参考になります。


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