移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:入国管理

l  ニセコ町のホテル「ヒルトンニセコビレッジ」で、就労資格のないベトナム人を不法に働かせたとして、入国管理法違反(不法就労助長)の罪に問われた人材派遣会社社長の判決が下りました。懲役1年6カ月・執行猶予3年・罰金200万円。裁判官は「入国管理行政への悪影響は大きく、刑事責任は軽視できない」と判示しました。ベトナム人7人を10ヶ月間、ホテルに派遣して清掃業務に従事させたことが、重大な犯罪であると断ぜられたのです。

l  派遣契約の場合、派遣労働者と派遣元は必ず責任を問われますが、今回の事件で「ヒルトンニセコビレッジ」は罪に問われませんでした。ホテル側は契約書を管理しておらず、在留資格について把握していなかったと言いますから、契約書を交わさずに「雇用」した可能性も否定できず、入国管理法上も「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」「外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者」に相当するので、本来なら同罪であることは明らか。いずれ、派遣先が、「大変驚き、残念に思っている」と語るだけでは許されない時代がやってきます。
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【Timely Report】Vol.317(2018.12.26)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
製造業派遣で資格外活動!!」も参考になります。

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l  入国管理法改正案について、自民党の中で激論が戦わされています。10月22日に政府案の説明を受けた自民党法務部会では、23~25日に業界団体等から意見を聴き、26日には法案を了承する運びだったのですが、移民政策や治安の懸念、受入規模の明示や総量規制の必要などを問う意見が出たため、結論を持ち越し。29日の法務部会では了承されたものの紛糾。

l  マスコミは「自民党劇場」に振り回されている感じです。内部分裂かのごとく報じられていますが、個々の議員たちの見せ場を作り、如何にも法案の中身を揉んでいるように見せるところはさすがに老練。実のところ、議論しているのは、「まずは、ほとんどを省令に委任した改正案を成立させ、その後に党の議論を省令等の実際の運用に反映させる」という決議案をまとめる方針の下で、政府に対する「決議文」をどうまとめるかで争っているだけ。

l  冷徹に見れば、国会軽視も甚だしい茶番なのですが、誰もソコを報じません。ジャーナリストならば、本来は、法案が「スカスカ」であることを問題視すべきなのですが、自民党のほうが役者が上手だということなのでしょう。

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【Timely Report】Vol.279(2018.10.31)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
野党は『特定技能』に反対?」も参考になります。


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l  在留資格「特定技能」を新設して、単純労働を担う外国人を受け入れることは既定路線になったようですが、この政策は、日本の入国管理政策に物凄く大きな変化をもたらします。というのは、「特定技能」の許可を得るためのハードル(日本語試験と技能試験)がものすごく低いからです。

l  日本語能力の基準は原則、日本語能力試験の「N4」。日本語学校の留学に必要な「N5」よりは若干高いものの、建設と農業については、「N4」すら求めません。「除草剤を持ってきて」という質問に該当する写真を選択できればOKというのですから、合格を前提とした試験になることを意味しています。技能試験についても、各業界団体が実施している実技の検定試験などで代替するようですから、受験料さえ払えば合格する類の試験になるはずです。

l  となれば、この「試験制度」を支配下に置いた者が「在留資格」を牛耳ることになります。試験さえ合格すれば、「特定技能」が許可されるのですから、入管の許認可権を得たも同然。「技能実習」や「留学」という在留資格を巡る既得権益との競合の中で、これから凄まじい利権争いが始まります。
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【Timely Report】Vol.181(2018.6.13)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「『特定技能』が動き出す!」も参考になります。

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l  東京入国管理局では、昨年、トルコ人男性収容者が虫垂炎の手術後、患部の痛みを訴えたのに職員が約1カ月間、診療を受けさせず放置した上、長期間、医師の診療を受けさせなかった事実を隠すため、手続文書に虚偽の発症日を記載していました。元々虫垂炎を発症した時も、激しい腹痛を訴えたにもかかわらず、職員が「容態観察」として20時間以上、診療を受けさせず、結果として、腹膜炎を併発させました。医療関係者からは「診療が遅れていたら腹膜炎から敗血症になり死に至る可能性もあった」との指摘も出ています。

l  この問題に対し、小宮山洋子・元厚生労働大臣は「命に関わる問題なのに、事実と異なる記載がされていて、許されないことだ」と批判し、東京高裁裁判官までもツイッターに「外国人を人間と思っていない」と投稿しました。

l  入国管理法第74条の6は、「偽りその他不正の手段により許可を受けた者の実行を容易にした者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処す」と定め、「偽りその他不正の手段」を厳しく罰していますが、入管職員ならば、虚偽記載は許されるということなのでしょうか。
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【Timely Report】Vol.156(2018.5.9)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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