移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:出稼ぎ

l  「特定技能」の普及が進みません。マスコミは、試験の遅れや入管の準備を理由に挙げていますが、実態としては、監理団体など「技能実習」の関係者が「特定技能」の導入に大反対していることが背景にあります。

l  ある監理団体は、「ウィンウィンの技能実習に比べ、特定技能はデメリットばかり。①転職が可能なので大都市に人材が集中する、②外国人が集中する大都市の治安が悪化する、③送り出し国が反発するというのが特定技能のデメリットだ。③送り出し国が反発するというのは、優秀な人材は日本に永住して母国に帰国せず、優秀じゃない人材ばかりが母国に帰国することになるからだ」と主張し、「10年後を展望すれば、AIが発展して人余りになるだろう。そうすれば、特定技能で日本に連れてきた外国人は、国民の負担になる。不法移民になって治安を乱すかもしれない」という懸念を表明しています。

l  「出稼ぎオンリーの特定技能は筋が悪い。技能実習は5年まで延びたが、さらに5年から7年にまで延ばすべきだ。それが正しい政策である」と提言している監理団体が、素直に「特定技能」の普及に手を貸すとは思われません。

【Timely Report】Vol.574(2020.1.22号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:登録支援機関は「開店休業」中」も参考になります。

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l  11月23日、英国ロンドン近郊でトラックの冷凍コンテナから不法入国を試みた39人のベトナム人の遺体が発見されました。その中のひとりであるファム・ティ・チャ・ミは、技能実習生として日本で3年間働いた後、今年6月に実家に帰ったばかり。しかし弟が購入した新車で事故を起こし、両親が多額の借金を背負ったため、再び出稼ぎに出ることを決めました。さらに2年働くために訪日を希望したのですが、日本で学んだ技能の普及に母国で1年以上努めることが求められたため、やむなく英国行きを選択した模様です。

l  もしも、彼女が再来日するビザが許可されていたならば、多額の費用をかけ、遥かなる英国に不法入国してまで出稼ぎに行く必要はなかったはずです。その意味で、彼女は、実質的に出稼ぎにすぎない「技能実習」を「日本で修得した技術の母国への移転を図るための人的な国際貢献」であると言い張っている嘘っぱちの制度の犠牲になったと言えなくもありません。

l  もうそろそろ、嘘の上に嘘を塗り固めた「技能実習」は、「単純労働ビザ」として仕切り直すか、「特定技能」に統合すべき時期なのではないでしょうか。

【Timely Report】Vol.599(2020.2.26号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「技能実習:監理団体はビッグビジネスだ!」も参考になります。

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l  失踪した技能実習生や偽装留学生・偽装難民を評して、「出稼ぎ目的とはケシカラン」と論じる人もいるのですが、明治元年から20世紀の半ばまでに、日本は100万人を超える「移民」を送り出しました。元々彼らのほとんどは、3~5年働いて故郷に帰ることを目的とした「出稼ぎ」でした。

l  「いまの我々とは関係ない」と言われてしまえば、身も蓋もありませんが、来日している外国人の「出稼ぎ」たちは、当時の「日本人移民」に似た境遇にあります。異国における当時の日系人の苦労を偲んで涙するのであれば、来日している「出稼ぎ」たちの暮らし向きにも手を差し伸べるべきでしょう。

l  日本政府が施行した「移民保護法」(1896年)は、「移民」を「労働ニ従事スルノ目的ヲ以テ外国ニ渡航スル者及其家族ニシテ之ト同行シ、又其所在地ニ渡航スル者」と定義。また、「三、五年の後母国に還る者」を「一時的移民」と分類していましたから、いまの「出稼ぎ」たちは列記とした「移民」です。また、1928年には「国立神戸移民収容所」も開所されました。安倍政権の「移民論議」と比べると、150年前の日本の方が「近代的」に感じます。
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【Timely Report】Vol.238(2018.9.3)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  新型コロナウイルスの感染拡大による国際的な送金への影響を世界銀行が調査したところ、2020年の低・中所得国への送金額は去年に比べて19.7%、金額にして1090億ドル(11兆7000億円)も減少する見通しだと言います。これは、これまでに経験したことがないインパクトです。

l  低所得や中所得国への国際的な送金は、外国人労働者の増加とともに10年間で1.5倍以上に増加(2019年は過去最高の5542億ドル)。この送金は途上国において、人々の生活費を支えているほか、貴重な外貨の獲得手段にもなっており、途上国の数多くの家庭が貧困に陥る可能性は否定できません。

l  900万人が諸外国に働きに出ているパキスタンでは、彼らからの送金がGDPの7~8%に達します。人口1億人の1割が海外に出稼ぎに行くフィリピンではGDPの1割を占めます。海外への出稼ぎを重要な外貨の獲得手段と位置付けているベトナムでも、送金減少は経済に悪影響を与えているようです。じつは、来日している外国人の2人に1人は、母国に仕送りをしているという調査もあります。送金の減少が国際経済に与える影響は軽視できません。

【Timely Report】Vol.684(2020.7.1号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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l  「偽装留学生」という言葉が流布しています。人気ドラマでも取り上げられ、「みんな困っています。みんなです。生徒の8割は留学生という名の出稼ぎ、偽装留学生です」という台詞が台本に載るようになりました。

l  「偽装留学生」という言葉に相応しい留学生がいることは否定しませんが、証拠を示すことなく、「留学生≒偽装留学生=出稼ぎ」と決めつけて報じる姿勢はいかがなものかと感じます。この類の記事に疑問を感じたのは、就活中の外国人に「残業」について尋ねたら、「たくさんしたい」という回答が15%前後に過ぎなかったという事実に出遭ってからでした。無論、母体集団の偏りという問題はあるかもしれませんが、傾向は半年以上変わりません。

l  母国への仕送りに関するアンケートを実施すると、母国に仕送りをしている者は4割弱にすぎず、10万円以上の送金は10~15%に過ぎないこともわかりました。逆に母国から仕送りを受けている外国人は4割程度もおり、中には、母国から仕送りをもらいながら母国に仕送りしている外国人も一定数います。偽装留学生は、せいぜい2~3割なのではないかという感じがします。

【Timely Report】Vol.712(2020.8.21)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事
偽造在留カードが1500枚!」も参考になります。

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