移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:労働力

l  日本における移民政策論は、未だに「あるべき論」を戦わせるだけで、感情的な対立を確認するだけで終わってしまいがちです。

l  この点、米国では、「今後の10年間に関して、移民による労働力強化等がないと成長率が▲1.3%落ちる」とか「移民を5%制限すれば、成長率を▲0.2%押し下げる」などと試算されているほか、豪州でも、「一時的にでも難民の受け入れ数を増やした場合、向こう50年間で377億豪ドル(約2兆7,002億円)規模の経済成長が見込める」という分析が公表されています。EUにも、「移民の増加は、1人当たりGDPの改善や失業率低下などの好ましい変化につながっており、移民支援などで公共支出が増加した分は、移民の納める税が増加することでバランスが保たれていた」という調査結果があります。

l  日本も、今回の入管法改正で、5年間で最大35万人の「特定技能外国人」を受け入れる腹を括ったのですから、試算を公表すべきでしょう。そうすれば、年金や健康保険等の財政や税収に関して、著しいプラス効果をもたらすことを確認できるはずです。そして、新しいビジネスも産まれるはずです。

【Timel
y Report】Vol.576(2020.1.24号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「経済政策:移民規制で経済が停滞?」も参考になります。

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l  安倍政権は、外国人労働者の大幅受入増を決定しました。総じて賛成論が多いものの、「外国人との共生」に関しては、準備不足や懸念を表明する向きが多いのも事実。「呼び寄せる日本側の派遣会社のための制度でしかない」「仲介業者による中間搾取を防ぐ仕組みの整備、日本語学習や医療面の支援なども必要だ」「外国人を一時的な労働者とみなしての受け入れは禍根を残す」などの意見に対して真摯な回答が求められます。

l  弊協会が開催した大講演会でも、阿部知子衆議院議員が「『人』として受け入れるのか、それとも『労働力』として使うのか?」という大きな問題提起をされましたが、「政府の目に映っているのは、人手不足を補うための単なる『労働力』であって『人間』ではない」「外国人を『もの』ではなく『人』として受け入れる姿勢を欠いた、ゆがんだ政策と言わざるを得ません」という批判が湧き起っています。「我々の生活水準を落とさないために外国人労働者を受け入れるのだから、彼らの存在を地域社会が受け入れなければならない」という覚悟を持った上で、制度の詳細を決めることが求められます。
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【Timely Report】Vol.213(2018.7.30)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「台湾は移民政策に踏み込む!」も参考になります。

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l  123日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王、米メキシコ国境に壁を建設するドナルド・トランプ米大統領の計画を「狂気の沙汰」と非難し、移民に対する「恐怖感によって私たちは苛立っている」と述べました。米メキシコ国境については昨秋以降、中米から米国を目指す移民集団(キャラバン)の北上により、不法移民や国境壁建設を巡る議論が激化しています。

l  興味深いのは、トランプ米大統領一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」のゴルフ場で、不法移民を雇っている疑いが浮上していること。ニュージャージー州にあるトランプ大統領のゴルフ場で不法就労していたビクトリア・モラレスさんは、「数百万人の不法移民を代表して出席する」とし、2月5日の一般教書演説に出席すると報じられています。

l  米国内の不法移民(2016年)は1070万人で人口の3.3%とされており、このうち780万人が働き、国内労働力の4.8%を担っていると推計されています。「法令が求める机上の空論」と「人間や企業が営む現実」が異なっているのは日本だけではありません。トランプ米大統領はどう捌くのでしょうか。
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【Timely Report】Vol.324(2019.1.10)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「トランプ大統領は二枚舌か?」も参考になります。

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l  12月12日、英総選挙で保守党が大勝利を収め、EU離脱が決定しました。英国は、ポイントに基づく「オーストラリア型」の移民制度を導入し、移民総数(特に職能の低い移民)を削減する方針です。EU市民と非EU市民を同等に扱い、大半の移民は求人がなければ、英国に移れなくなる見込みです。

l  すでに移民たちは動き始めました。在留するポーランド人90万人は、母国がUターン政策を推進していることもあって、帰国する人が着実に増えています。滞在許可の更新が不安なので、給料水準が4倍であっても帰国するケースがあるほど。建設業や観光業において、移民の労働力が欠かせなくなっている英国にとって、これからマイナス面が表面化してくることでしょう。

l  ジョンソン首相は、「英国は移民制度の管理を独自に実施する」と強調していますが、EU側は「英国が独自ルールを採用すれば、英企業によるEU市場へのアクセスは制限されることになる」と警告。紆余曲折は免れませんが、いずれ日本でも攘夷派が優勢になる可能性が否定できない以上、「他山の石」として、今後の英国に何が起こるかを注視しておくべきです。

【Timely Report】Vol.613(2020.3.17号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「技能実習:嘘っぱちの制度が悲劇を呼ぶ?」も参考になります。
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l  日本以上に激しく急速な少子高齢化が、今後中国に襲い掛かります。「一人っ子政策」の影響で、25歳以下の世代では女性が男性より3000万人も少ないという歪な人口構成になってしまい、出産適齢期の女性が激減しているので、出生数を伸ばしようがありません。出生率の低下と平均寿命の延長を背景に、世界各国で少子高齢化問題が浮上していますが、中国の場合、出産適齢期の女性が少ないので、高齢化のスピードが他国よりも遥かに速いのです。介護保険が整っていない中で、親2人を介護せざるを得ない独身男性が激増するため、何も手を打たなければ悲惨な未来が待っています。

l  2016年に、中国政府は「一人っ子政策」から「二人っ子政策」に転じましたが、出生率の上昇はわずかでした。年内に出生制限政策が撤廃されるとも噂されていますが、出産制限が完全に撤廃されても、若い女性が少なく、豊かになった中国で、出生率が大幅改善することは見込めません。したがって、近い将来、中国は「労働力」の「輸出国」から「輸入国」へと転じます。「門を開けば日本に来る」と高を括っていると、残念な結果に終わりそうです。
パンダ, カブ, 野生動物, 動物園, かわいい, 中国, 哺乳動物, 自然
【Timely Report】Vol.310(2018.12.14)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「中国が移民管理局を設立!」も参考になります。

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