移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:収容

l  収容されていたナイジェリア人が餓死した事件に関して、入管庁は報告書を公表。①薬物関連刑罰法令違反により執行猶予付き懲役刑、②窃盗等により懲役刑の実刑(宣告刑は5年超)という前科があったため仮放免が困難だった事情を説明し、「本人は拒食を続行し,連日,職員の度重なる説得にもかかわらず,摂食,処方薬の服用又は点滴のいずれも拒否」「医師の再三の説得にもかかわらず,点滴等の治療を拒否」という事実を踏まえ、「対応が不相当であったと評価することは困難」としました。

l  この報告書を読んだ上で朝日新聞は、前科については「窃盗罪などで実刑判決」とだけ説明。「窃盗事件が『組織的で悪質だった』と説明したが、事件内容は公表していない」として入管の説明不足で片付け、「入管施設での外国人死亡は餓死 入管庁『対応問題なし』」という批判的な見出しを掲げました。

l  一方、週刊新潮は、収容所の担当者を取材し、「医療倫理上、本人が拒否しているのに治療を行えば、場合によっては傷害、暴行罪になりかねません。非常に難しい」という証言を得ています。どちらの記事がフェアでしょうか。

【Timely Report】Vol.572(2020.1.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「長期収容者にも悪い奴はいる!」も参考になります。

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l  大村入国管理センターで収容中の40代のナイジェリア人男性が死亡した理由が、食事や治療を拒否したことによる「飢餓死」だったことが公表され、入管の長期収容が問題視されていますが、冷静な議論が必要だと思います。

l  朝日新聞は、餓死で死亡したナイジェリア人について「窃盗罪などで実刑判決を受け」と軽く説明していますが、共同通信によれば、「薬物事件で執行猶予付き懲役刑の判決を受けた後、窃盗などの事件で実刑となり、仮釈放された」人物(要するに、刑務所に入った外国人)のようであり、薬物事件や窃盗罪の罪状にもよりますが、一般庶民の感覚で言えば、「そういう外国人は仮放免できないんじゃないの?」と思われてしまう経歴を持っています。

l  人権派の人たちは、「かわいそうだ論」で入管を責め立てるために、「都合の悪い情報を隠す」という手法を用いますが、その手法が結果的に入管の主張に一定の正当性を与えてしまうので、解決につながる出口から遠い方向へと問題を追いやっているように感じます。仮放免や特別在留許可を為すべき基準を公に議論したほうが生産的なのではないでしょうか。

【Timely Report】Vol.556(2019.12.19号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:ヘイトスピーチは沈静化する?」も参考になります。


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l  3月12日、14カ月にわたり東京入管に収容されているクルド人の難民申請者が体調悪化を訴えたものの、入管は何ら対応せず、心配した家族が呼んだ救急車を2度も追い返すという事件がありました。過去に必要な診療を受けさせずに、収容者を死亡させた事例があるだけに、批判が高まっています。

l  この問題の根が深いと感じざるを得ないのは、加害者である入管の責任官庁が、人権擁護を担当している法務省だという喜劇的な事実です。基本的人権を守る役割を担っている官庁が、人権を無視しているのなら、外国人に限らず、日本人の人権も守ってくれないでしょうし、そんな人たちが運営する法治国家が想定するのは、「人権を守るための法令遵守」ではなく、「お上が思い描く秩序を維持するための規則遵守」に過ぎないからです。

l  収容所での外国人に対する人権無視は、日本人にも無関係ではありません。それは、有罪未確定の容疑者に対する人質司法と同根であり、庶民を慮る心がない官僚主義と表裏一体の関係にあります。そんな法務省が、「特定技能」では、企業に人権擁護を強制するのですから、苦笑せざるを得ません。

【Timely Report】Vol.389(2019.4.15号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法は移民を受容しない!」も参考になります。

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l  大阪入国管理局で職員に押さえつけられた際に右腕を骨折したとして、収容中のトルコ人男性が、国に約450万円の損害賠償を求めて提訴しました。2017年7月、鎮痛薬の服用時に確認のため口を開けさせようとした職員の態度に腹を立てた男性が本を壁に投げつけたところ、職員7~8人が男性を別室へ連行し、転倒させて右手をひねり上げ、後ろ手に手錠をかけられ、約1分半の間、押さえつけられたというのです。男性が激しい痛みを訴えたところ、病院に搬送され、右上腕骨折と診断され、2日後に手術を受けました。

l  茨城県牛久市にある入管収容施設では、4月にインド人男性が自殺し、5月もブラジル人が自殺を図りました。同じ施設では、2010年に日系ブラジル人と韓国人の2名が自殺、2014年にはイラン人とカメルーン人が病死、2017年もベトナム人が病死しています。本来、送還までの一時的な収容であるはずなのに半年以上の長期収容者が36.8%。入管は「誠心誠意適切に対応している」と主張しますが、「外国人には人権がない」と考えているように見えてしまいます。人権を守る法務省の管轄下なのに・・・。
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【Timely Report】Vol.177(2018.6.7)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  大阪入管の職員が、不法残留でベトナム人男性の収容手続を取った際、裁判所の令状や本人の同意を得ず、アパートへ強制的に立ち入り、パスポートを捜索したとして男性本人と妻から住居侵入等の疑いで告訴されましたが、大阪地検は、嫌疑不十分で不起訴としました。本当に裁判所の令状なしに踏み込んだとすれば、とんでもない蛮行です。家宅捜索は、基本的人権を侵害する行為なので、令状なしに勝手に実施することは認められません。

l  入管を巡っては、強制送還中のガーナ人男性を航空機内で取り押さえて死亡させたり、7時間も苦しんでいるカメルーン人を放置して収容中に死に至らしめたなどの凄惨な事件があります。申請窓口でも、パスポートを取り上げられて「明日帰国しないと返さない」と脅されたり、許可ハガキを受け取ったのに「ハガキの日付は間違い。あなたはオーバースティだから帰りなさい」と突っぱねられたなど不可解な事例に遭遇します。ある法務官僚が「外国人は、煮て食おうと焼いて食おうと自由だ」と放言した半世紀前と同じだとは思いませんが、そのDNAが根深く残っているとするならば、ぞっとします。
民主主義, 独裁政権, 町に署名, 地名標識, 状態, ポリシー, 責任
【Timely Report】Vol.124(2018.3.20)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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