移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:国際情勢

  9月8日、外国人起業活動促進事業における茨城県内第1号として、つくばで再使用型有人ロケット開発を目指すオーストリア人に確認証明書が交付されました。いわゆる「スタートアップビザ」です。入管に申請して認められれば、起業準備として1年の在留資格を得ることができます。

l  「経営・管理」に在留資格を変更する場合、500万円以上の資本金や事業所の確保が必要になることがネックになっていました。「スタートアップビザ」は、その負担を軽減し、外国人の起業を促進する試みです。方向性自体は間違っていませんし、確認証明書が出たことはおめでたいことだと思います。

l  しかし、「有人ロケット開発」に真剣に挑戦するのであれば、資本金は500万円どころか500億円でも足りないかもしれません。オーストリアで宇宙航空エンジニアリング会社を経営していると自称する経営者が、500万円程度を拠出できなくて、事業所を構える余裕もないというのは不可思議です。初めから「経営・管理」に挑戦すればいい。それとも、「スタートアップビザ」第1号になることで新聞記事になることを狙った作戦なのでしょうか。

【Timely Report】Vol.723(2020.9.17号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:外国人の社会保険をどうすべきか?」も参考になります。

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l  入管は、入管施設での収容期間が6カ月以上になると見込まれる難民申請中の外国人らについて、社会内での生活を認める「監理措置(仮称)」を新設する方向で最終調整しているようです。「①難民認定が厳しすぎる・②犯罪者ではないのに収容している・③収容期間が長すぎる」という批判に対する一つの答えとして、現行の難民認定を国際標準化する代わりに、長期収容しないことで、②・③の批判をかわそうという狙いなのでしょう。【p6~p9】

l  しかし、当該制度を導入した瞬間から、「監理措置」の外国人の生計問題=就労問題が持ち上がります。「監理措置」の期間中、どうやって生計を立てるのか=就労を認めるか、という問題です。そもそも「偽装難民」が大きな問題となったのは、民主党政権時代に難民申請中の就労を認めるという運用に転換した際に、一部の弁護士が難民申請を強引に推奨し、それを真似したブローカーが急増して、就労のための難民申請が跋扈したことに因ります。

l  「監理措置」中の就労を認めれば、類似の問題が発生するのは火を見るよりも明らか。制度の詳細を設計する際には、相当の注意と智慧が必要です。

【Timely Report】Vol.727(2020.9.25号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:入管は受け入れたくないのです?」も参考になります。

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