l  佐々木入管庁長官は、同庁の新たな役割に外国人支援が加わったことを踏まえて、「外国人支援士」を創設するという構想を明らかにしました。確かに、「外国人支援士」を創設することになれば、資格試験が必要になるでしょうし、支援士を登録したり管理する協会や公的機関が必要になるので、天下り先が増える話になります。だから、「創りたい」というのはよくわかります。

l  しかし、客観的に足元をみれば、長期収容問題に象徴されるように、入管庁自体が「外国人支援」を所管する官庁として相応しいとは言い難く、多文化共生に係る諸問題に率先して取り組んでいるとも思われません。

l  そもそも日本には、外国人の在留を正面から見据えたうえで、外国人をどう受け入れるか・どう共生するかという基本的な考え方を示す「基本法」がありません。在留の可否自体、人権に対する見識が疑われている入管庁職員の個々の裁量に丸投げしているのが実情です。「外国人支援士」等というキレイゴトに見せかけた天下り対策を企てる前に、真剣に指令塔として、「外国人雇用法」または「移民基本法」の立法に取り組んでもらいたいものです。

【Timely Report】Vol.553(2019.12.16号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管政策:日本代表の半数は外国人?」も参考になります。


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