移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:差別

l  9月25日、ニューヨーク市人権委員会は、「在留資格と国籍に基づく差別の法的取り締まりガイダンス」を発表しました。ニューヨーク市においては、不法移民に対して、雇用主や家主、ビジネスオーナーらが「ICE(移民税関捜査局)に通報する」と脅かしたり、相手を侮辱的に「illegal alien」(不法入国者)と呼んだりすると、市の人権法に違反するとして、最大で2万5,000ドル(約270万円)の罰金が科されることになったのです。

l  単にガイダンスだけの話だと思ってはいけません。クイーンズ区の家主が、家賃を支払わない住人に対して「家賃を払わなければICEに通報する」と脅かしたケースでは、住人が「住宅差別」に当たるとして家主を提訴し、裁判官が家主に対して1万7,000ドル(184万円)の支払いを命じています。

l  あからさまなヘイトスピーチに対してすら明確な罰則規定がない日本では考えられない話ですが、「移民国家」である米国では、「移民に対する差別」は御法度。しかし、「不法移民」に対して、「不法入国者」と呼んだり、「入管に通報するぞ」と言っただけで、200万円の罰金というのは痺れますね。

【Timely Report】Vol.555(2019.12.18号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:ヘイトスピーチは沈静化する?」も参考になります。


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l  赤坂エクセルホテル東急が、東京オリンピック・パラリンピックの大会関係者と一般客の動線を分けるという指導に従うため、ホテル内のエレベーターに「外国人専用」「日本人専用」という掲示をしていましたが、「外国籍の人々への差別だ」という批判を受けて撤去しました。 

l  三重県では、外国人の不法就労や不法滞在に関する県のウェブサイトに掲載されたイラストが「外国人への差別や偏見を助長する」との指摘を受けて、削除されました。イラストは、県警の依頼で制作されたもので、灰色の肌に黄色の目をした土木作業員や接客業、工場作業員とみられる男女3人が「在留資格無資格」などと書かれた紙を掲げて薄ら笑いを浮かべたものでした。

l  配慮が足りなかったのは事実でしょう。しかし、これらの張り紙やイラストを罵倒する人々は、多くの場合、「無差別で平等な良識を持った選民」と「基本的人権に鈍感な愚民」の間で線引きしたいという自己顕示欲だけに終わり、社会を融合ではなく分断に誘いがちです。罵倒による他人への攻撃は、真の意味で外国人を受け容れる社会を構築することには貢献しないと思います。


Timely ReportVol.8292021.7.12号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


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8月28日、茂木外務大臣は定例記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大防止策として実施していた在留外国人の入国制限に『科学的な合理性』があるかと尋ねた外国人記者に「What do you mean by scientific?」と英語で聞き直した。「日本語でいいです。ばかにしなくても大丈夫です」と抗議した記者に対し、茂木氏は「ばかにしてないです」「日本語、分かっていただけましたか」などと応じ、「差別的ではないか」との批判が出ています。

l  個人的には、「茂木大臣は大人げないなぁ」と思う一方で、入管行政に対して「科学的な合理性」を求める人たちに対しても、「それって、期待しすぎでしょ」とツッコミたくなります。というのは、個別審査の現状を見れば、個々の入国審査官の裁量が大きすぎて、科学的な合理性どころか、ガイドラインとの合理性や整合性すら期待できないのが実態だからです。【p5~p10】

l  その意味では、茂木大臣が最後に放った「出入国管理の問題ですから、出入国管理庁にお尋ねください。お分かりいただけましたか。日本語、分かっていただけましたか」という発言は、簡にして要を得たものだと言えるかも。

【Timely Report】Vol.719(2020.9.7号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「製造業派遣は実刑になるのか?」も参考になります。

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l  2019年321日、イチロー選手が引退を発表しました。会見で「アメリカでは僕は外国人ですから。このことは外国人になったことで人の心を慮ったり、痛みが分かったり、今までなかった自分が現れたんですよね。体験しないと、自分の中からは生まれないので、孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだよと今は思います」と語ったことが話題となり、SNSでは、「人生に一回はマイノリティーの立場を経験してみるのが良い」など支持する投稿が相次ぎました。

l  異国に行けば、日本人は「外国人」です。移民問題を議論する際には、「異国で自分がどのように扱われたいのか?」という視点が欠かせません。そういう見識を身に付けていないと、移民に断固反対しておきながら、「もし日本が戦争になれば、私は家族を国外に逃がしたい。日本が崩壊すれば、子供達はそのまま外国で暮らせばいい」などという身勝手な論理を振り回す評論家や、差別発言を吐いた世田谷年金事務所所長を容認することになってしまいます。イチローが語った言葉を大切にしていきたいものです。

【Timely Report】Vol.393(2019.4.19)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  3月17日、札幌地裁において、法律上同性のカップルに婚姻が認められないことは、法の下の平等を定める「憲法14条に違反する」という判決が下されました。同月25日、性的指向や性自認に関する差別を禁止する「LGBT平等法」の制定を求める団体が、与野党に10万筆の署名と要望書を提出するなど、日本でも同性婚を求める動きが活発化しています。

l  同性婚を認める世界的な潮流の中で、同性婚制度を導入した国で結婚した外国人同士の同性カップルの一方が、転勤などで日本で暮らす際に、入管は、2013年から配偶者に対して、在留資格「特定活動」を与え入国を認めています。2020年までの間、93件のカップルの日本居住を可能にしてきました。

l  ただし、日本人と外国人の同性婚の場合、日本国内で同性婚が認められていないため、日本人が外国人を連れて帰国したくても、「特定活動」は認められていません。一般的に「日本人配偶者」という在留資格は、日本人と同等でオールマイティなのですが、同性婚の場合、「日本人配偶者」という地位が逆にデメリットになってしまいます。この不整合性は、責められそうです。

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  Vol.799(2021.3.31号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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