移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:技能試験

  「特定技能」を導入してから半年を経過しても、取得者は732人に過ぎず、初年度想定の3%未満。特定技能で受け入れるのは9カ国ですが、先方の法令や手続が定まったのは、カンボジア、インドネシア、ネパールのみ。10月までに技能試験が開催されたのは6カ国で、日本語試験が開催されたのは4カ国だけ。技能試験が実施されていない業種が多いため、日本企業は人を受け入れたくても、受け入れられない状況が続いています。「特定技能」に期待を掛けた関係者の間には、「騙された感」が漂い始めました。

l  法務省は、諸外国との調整や試験の遅延を原因に挙げていますが、昨年7月の閣議決定で、「法務省は、外国人の受入れ環境整備に関する企画及び立案並びに総合調整を行う」と決まったのだから、司令塔としての辣腕を振るえばよいだけです。入管の現場には未だに外国人嫌いが目立ちますから、本音では受け入れたくない法務省が責任を転嫁しているだけとも感じられます。

l  監理団体が「技能実習」の長所と「特定技能」の短所を喧伝し続ける中で、「わざわざ特定技能にしなくても」と考える国や企業が着実に増えています。

【Timely Report】Vol.595(2020.2.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:入管は受け入れたくないのです?」も参考になります。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  入国管理法の改正案が成立しました。内容のほとんどが政省令に丸投げなので、「特定技能1号」に必要な「相当程度の知識または経験」は、特定技能試験でどのように判定されるのかが全くわかりません。筆記なのか実技なのか、誰が合否を判定するのかという具体的な仕組みについては、「法務省令で定める」というだけ。法務省幹部は「特定技能1号の試験は、技能レベルとしては同等またはこれを少し上回るレベルになる」と指摘したようですが、3年間の経験がある技能実習生は、試験を受けずに「特定1号」へ在留資格を変更できるので、それと同等の「技能」を求めるということなのでしょう。各省庁からは、「新試験を間に合わせるのは難しいから、とりあえず技能実習生だけをスライドさせればいい」という本音が漏れてきます。

l  技能実習制度の対象ではない「宿泊」は、「技能実習2号」移行対象職種への認定に必要な厚労省の専門家会議の意見聴取を11月末に受けました。このままでは、「特定技能」は、「技能実習」の枠組みに取り込まれてしまい、虚偽に塗れた「技能実習」の欠陥を引き継ぐことになってしまいます。
旅行, ホテルの客室数, ホテル, ルーム, ベッド, インテリア, ビジネス

【Timely Report】Vol.311(2018.12.17)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
野党は『特定技能』に反対?」も参考になります。


  外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

↑このページのトップヘ