移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:社会

l  「日本において、移民の社会的統合が緩やかに進みつつある」と主張する研究者がいます。移民(=在留外国人)の社会的統合を検証する場合、最も重なのは、労働市場における統合であり、移民労働者がホスト社会の労働市場において正当に評価されているか否かが重要として、まず、専門職に就く場合、移民は日本人よりも高い確率で専門職に就いていると指摘します。

l  その一方、管理職や事務職に就く場合、海外で取得した学歴や就労経験は、日本で取得されたものに比べて低い評価しか受けませんが、日本人と比べて年齢上昇による昇進確率の差が有意に低いわけでもないと主張します。つまり、日本企業に入ると、最終的な地位の差はあるものの、移民も日本人も関係なく、似たようなペースで昇進すると結論付けています。

l  「日本の労働市場が閉鎖的であるというイメージは極めて漠然としたものであって、スキルや職業といった観点から見ていくと、部分的に社会的統合が進んでいる部分も見られる」と説くのですが、移民に専門職が多いのは、在留資格の建付けに因る部分も大きいので、割り引いて考えるべきでしょう。

【Timely Report】Vol.605(2020.3.5号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:「移民基本法」を議論すべきだ!」も参考になります。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  外国人労働者の受入増に反対する論者が反撃の機会を窺っています。「社会が分断化される」「日本社会が壊れる」「日本人の美徳が損なわれる」「日本文明が死ぬ」など、言葉も激しさを増してきました。

l  もちろん、外国人を受け入れることによって、無視できない摩擦は生じます。軽視できない問題も数多く発生するでしょう。悲惨な事件が起こるかもしれません。しかし、だからと言って、「外国人は受け入れるべきでない」と決め付けるのは短絡的です。それは、「人員削減につながるからIT化には反対だ」「交通事故が起こるから、自動車は全面禁止にすべき」「殺人に使われたから、包丁の購入は許可制にする」などという主張に近いものがあります。

l  あらゆる政策には副作用が伴います。これは選択問題です。「人口減少で縮小する経済の中での耐え難い苦痛」と「外国人を受け入れることによる解決し難い苦悩」のどちらを選ぶのか。片方だけを指摘して痛罵したところで何も解決できません。苦痛と苦悩を秤にかけて選ぶ必要があります。現実問題として、「耐え難い苦痛」に耐えられる日本人はほとんどいないと思います。

【Timely Report】Vol.381(2019.4.3)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法は移民を受容しない!」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 
全国外国人雇用協会 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  今年7月、JR四ツ谷駅前に、外国人の出入国在留・人権・就労・労働関係の相談窓口となる「外国人在留支援センター(FRESC)」がオープンしました。多文化共生社会の実現を促進するために、入管庁や東京入管など関連4省庁8機関が同じ建物の同じフロアに集まったワンストップの窓口です。ワンフロアに約140名が働いており、相談件数は1日に100件ほど。

l  FRESCが入っている四谷タワーは、今年1月末に竣工したばかりの高層の新築ビル(地上31階・地下3階)。ワンフロア650坪ですから、家賃だけで月2,000万円前後。新オフィスを整備するための費用は、億を超えているはずです。ところが、1人当たりの対応件数は1日0.7件というのですから、コスト・パフォーマンスで見る限り、かなり問題があるような気もします。

l  それだけの巨額のおカネをかけるのであれば、電話の問い合わせに対応する係員を各入管に1人ずつ増やしたほうが良かったのではないでしょうか。電話しても通話中でなかなかつながらないとか、審査の状況を尋ねても「審査中です」という一言で片付けてしまう杜撰な現状を改善する方が先決です。


【Timely Report】No.7482020.11.13より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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