移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:米国

l  6月25日、米国務省は、「人身売買に関する年次報告書」において、技能実習制度の不備を指摘し、日本を1ランク格下げしました。「政府は、法外な手数料を徴収する海外の仲介業者の排除に向け、法的な義務であるはずのスクリーニングを十分に実施していない。そのため実習生は借金漬けでの来日を強いられる」などというコメントを見る限り、日本で読まれている記事をまとめて評価してみたら、「やっぱりダメだった」という感じでしょうか。

l  表層的な日本のマスコミでは、「技能実習生=被害者」という色眼鏡で書いた記事が圧倒的な大多数。「1割はババを引くが、9割は成功する。だから、実習生が増えている」と喝破しているジャーナリストも一部にいるのですが、「実習生は被害者だ」という大合唱の中で無視されています。

l  今回のコロナショックで露呈したのは、かなりの部分を技能実習生に頼っているという現実。人権派が唱える「かわいそうだ論」で現状が改善されることはなく、机上の空論で作り上げた「特定技能」では力不足。いまを好機と捉えて制度を再編すべきなのですが、その剛腕は入管には無さそうです。

Vol.695(2020.7.16号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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l  米インターネット通販大手のアマゾンは、50億ドル(約5500億円)超を投じて、「第2本社」を建設し、最大5万人を雇用する予定です。誘致に計238の都市が名乗りを上げましたが、20都市までに絞られた候補地の中に、米国以外で唯一カナダのトロントが残りました。

l  カナダのトルドー首相は、「カナダではどんな宗教でも人種でも全てのバックグラウンドの人々を歓迎する」と強く主張し、多様性と多文化主義、オープンでフレンドリーなコミュニティーと移民政策を「カナダの強み」としてアピールしました。移民規制の強化に走るトランプ政権とは対照的に、カナダは有能な外国人材の受け入れに積極的で、ITに強い大学や研究所もあります。また、一定の技術力を持つ外国人材に対し、2週間以内に毎年制限なく発行される「就労ビザ(Global Skills Strategy Visa)」も導入しています。

l  移民にオープンだから豊富な人材も獲得が容易だとするトロント市長は、「トロントと同じ程の才能・高スキルに富んだ人材、同等の生活の質、活気、経済力を誇る都市は他にない」と語りました。さて、東京はどうでしょうか。
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【Timely Report】Vol.236(2018.8.30)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  8月7日、米国の移民税関捜査局は、ミシシッピ州で一斉摘発を行い、680人の不法移民を拘束しました。拘束された不法移民の子供は親族か他の家族の元に送られることになるため、「家族を離れ離れにし、地域社会を恐怖に陥れている」などと批判が高まり、680人のうち300人が釈放されました。

l  じつは、「不法移民の親子分離」は、日本でも毎日起こっています。入管庁は、「米政府の場合、不法移民の親子は分離されて然るべきという立場を取っているが、日本の場合、子供に配慮した対応を取っており、米国と同様という指摘は当たらない」と語りますが、2018年に認定された難民は、ドイツ56,500人、米国35,000人、フランスが29,000人、カナダ16,800人、イギリスが12,000人に対して、日本は42人にすぎません(申請は10,493人)。

l  東日本入国管理センターでは、被収容者325人のうち94%が半年を超えており、5年超という人も。今年5月から始まったハンガーストライキは、7月下旬に100人を超える規模に広がりました。しかし、移民すら受け付けない日本が、難民を受け入れるのは難しそうです。

【Timely Report】Vol.514(2019.10.22号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「日本の近未来は介護業界に聞け!」も参考になります。

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l  中米諸国から米国を目指す移民集団が数千人規模でメキシコに接近。1月20日、メキシコ国境警備隊は催涙弾による撃退を図り、国境を突破した500人については、翌日、400人以上の身柄を拘束し、出身国に送還しました。メキシコはトランプ米政権に対し、不法移民対策を約束するかわりにメキシコ製品への関税賦課を免れており、不法移民への強い姿勢を示した格好です。

l  また、トランプ政権は、公的支援に頼る移民によるビザやグリーンカードの取得を制限する新たな規制を発付。訴訟に発展して論議を呼んでいましたが、1月27日、米最高裁は、これを当面認める判断を示しました。

l  1月23日、さらにトランプ政権は、出産のために観光ビザを使って米国を訪れようとする人へのビザ発給を拒否する方針を発表。米国籍の獲得を目的とした「バースツーリズム(出産旅行)」を抑制します。米国は「出生地主義」制度を採用しており、米国で生まれた子に米国籍を付与していますが、この制度を活用すべく、わが子の米国籍取得を目的とした中国人やロシア人の妊婦が続々と入国。米国における移民排斥の動きはしばらく続きそうです。

【Timely Report】Vol.623(2020.4.1号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「海外事情:一斉摘発で親子が離れ離れ?」も参考になります。
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l   菅政権は、日本に世界の金融ハブをつくる「国際金融都市構想」を掲げています。一国二制度が事実上崩れた香港から金融人材が流出しているほか、米国も年内に外国人技術者向けのビザの発給要件を厳しくする予定であり、優秀な外国人が新たな就労国を探す可能性が高まっていると分析しています。

l  そのための政策として、学歴・職歴・年収等を勘案して認定する「高度専門職」の外国人については、相続税の減免制度を設けて、保有する海外資産を課税対象外にするほか、役員報酬を損金算入できる対象を広げ、金融庁に海外事業者の英語対応を担う専門組織を設置するといいます。

l  しかし、「国際金融都市」のメインプレイヤーになるはずの我が国の金融業界を見ると、統合と寡占化とリストラと料金引き上げとサービス劣化にしか興味がないように見えます。本気で「国際金融都市」にするつもりがあるのなら、金融業界自体をもっとイノベーションに充ちた活気溢れる業界に変貌させないと無理なような気がします。小手先で在留資格や税制や英語インフラを整えたところで、本物の「国際金融都市」を築けるはずがありません。


【Timely Report】Vol.746(2020.11.9号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:入管は受け入れたくないのです?」も参考になります。

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