移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:試験

l  4月14日、日本国内で初めて「特定技能」の試験が行われました。宿泊業の試験が全国7カ所で行われたのですが、結局、全国で試験を申し込んだ761人に対して、実際には391人しか受験せず、申込者の半数程度(受験率51.4%)にとどまり、受験料を納付していない外国人も散見されました。

l  外国人を雇ったことのある経営者であれば、「権利は主張するが、義務を果たすかどうかはわからない」という外国人労働者の性癖を痛いほど思い知らされています。「申込」で権利を獲得した外国人が「受験」という義務を果たすかどうかはわかりません。しかし、「特定技能」の制度設計者は、そういう実態をご存じないのでしょう。申し込みが殺到したことでぬか喜びしてしまい、受験料の振り込みをしつこく催促することもなく、「来るかどうかわからない」という現実を思い知らされたということなのだと思います。

l  「特定技能」は、「外国人性善説」に基づいて制度設計されていますが、この受験結果からも分かるように、「義務を果たさない外国人」が多数存在することも事実。実態に見合った制度に早期改正すべきです。

 【Timely Report】Vol.413(2019.5.27号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  11月22日、安全保障上、重要な企業に対する外国人投資家の出資規制を強化する改正外為法が成立しました。従来、外国人投資家が特定業種に属する日本企業の株式を10%以上取得する場合、事前届出が必要とされていましたが、この基準が10%から1%に厳格化されます。このため、今後は、わずかな株の取得でも事前届出が必要になってきます。

l  残念ながら、日本の株式市場は、すでにアジアのローカル・マーケットのひとつに成り下がってしまっており、長期的な成長を期待する有力な投資ファンドは日本企業に魅力を感じていません。魅力を失った国が規制を強化した場合、さらに魅力を失い、おカネが流入してこなくなる恐れがあります。

l  おカネだけでなくヒトも同じこと。「日本の労働市場はアジアから見て魅力的に違いない」と思い込んで、余計な規制ばかりを作ると、来てもらえなくなります。その好例が「特定技能」。入管庁は、試験実施や送り出し国の手続の遅れなどを原因に挙げていますが、「特定技能」に係る複雑な制度や手続もその一因。早急に手を打たないと、労力と時間を無駄にしてしまいます。

【Timely Report】Vol.604(2020.3.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一流の外国人は日本に来ない?」も参考になります。

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l  10月12日、来春、新設される在留資格「特定技能」の骨格が示されました。「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種の資格を創設。「1号」は相当程度の知識と経験保有者が対象ですが、在留期間は通算5年が上限で、家族の帯同は不可。ただし、所管省庁が定める一定の試験に合格すれば「2号」に移行でき、家族帯同や在留期間の更新が可能になります。

l  画期的だったのは、「特定技能」の外国人に「転職」を認めたこと。これは、マーケットを劇的に変えるインパクトを内包しています。悪名高い「技能実習」で奴隷労働的な雇用が慣行となってきた背景には、「転職不可」という制度上の欠陥がありました。辛くなって逃げ出せば「不法在留」になり、他で働けば「不法就労」になるという構造が悲惨な諸問題を惹き起こしてきたのです。転職の可能性ありとなれば、雇用主も処遇に配慮せざるを得ません。

l  しかし、「同じ分野での転職は可能」となったのは良いとしても、実務上は、在留カードを見ただけで、適法・不法を判別することは困難。知らないうちに「資格外活動」に関与してしまう雇用主が続出してしまう可能性大です。
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【Timely Report】Vol.268(2018.10.16)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「
『特定技能』で一体どうなる?」も参考になります。


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