移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:転職

l  「特定技能」がなかなか普及しません。その背景には、「技能実習」の関係者なかんずく監理団体が「特定技能」に反対しているという事実があります。監理団体の立場に立てば、気持ちはわかります。「技能実習」であれば、毎月3~5万円の管理費を取れたものが、「特定技能」で外国人受け入れのための支援費として徴収したとしても毎月1~2万円程度でしょうから、収益的には半分以下になります。しかも、転職の自由もあるので旨味が少ない。

l  監理団体は、企業から入会費と年会費(各1~10万円)を徴収し、実習生1人当たり30万円程度の初期費用(紹介料8~10万円、入国前費用6万円、実習生の渡航費6万円、入国後費用13~14万円)をもらうと言われています。入国前費用と渡航費は実習生が払っているので、実質的には監理団体の取り分になるほか、送り出し機関から謝金や賠償金(失踪等)をもらっていると言われています。その上に管理費が毎月入ってくるわけです。監理団体全体でいうと、月130億円以上・年1500億円以上もの収入があるという見方もあるほど。要するに、監理団体はビッグビジネスなのです。

【Timely Report】Vol.578(2020.1.28号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:登録支援機関は「開店休業」中」も参考になります。

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l  介護大手のニチイ学館が、家事支援従事者として派遣していたフィリピン人女性206人の契約を更新しなかった結果、98人が帰国し、日本に残った108人のうち48人の所在が把握できなくなっていることが判明しました。受入事業を管理している「第三者管理協議会」が聞き取り調査を始めています。

l  ニチイ学館は、2018年2月から事業を開始し、2020年3月末で695人のフィリピン人女性を受け入れています。この制度では、「本人が在留を希望する場合、雇用主は新たな受け入れ先の確保に努める」と定められていますが、ニチイ学館は、契約更新しない旨を告げた際、意向を確認したり、別の職場を紹介したりせずに帰国を求めていたと報じられています。

l  興味深いのは、ニチイ学館が「第三者管理協議会に稼働率の低さを指摘され、雇用計画を見直さざるを得なくなった」と証言している点。これが事実であったとすれば、派遣労働者の立場に配慮せず、稼働率だけを問題視した「第三者管理協議会」の責任も浮上します。「契約終了後の転職支援義務」は、特定技能においても問題になり得る事案だけに、本件の結果が注目されます。

【Timely Report】Vol.7902021.3.8号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  コロナ禍の中で技能実習生が大量に解雇されており、彼らの生活苦が報道されています。生活苦のために犯罪に手を染める者も出るのだということで、改めて、「技能実習制度を廃止すべきだ」という議論が盛り上がっています。

l  技能実習制度の評判が好転する気配はなく、「入国後における14日間の個室での待機が義務づけられているのに、タコ部屋に何人も押し込められている」「入国後講習をやったことにして書類を偽造し、ごまかして代金を抜いている」「転職を容認し、引き続き日本で就労できる取り組みが始まっているのに、実習生に教えない組合もある」「逃げないようにする担保として、実習生の給料の中から毎月定額を預金させているところもある」などルール違反に関する具体的な証言が次々と出てきています。

l  建前と本音が乖離している技能実習制度が深刻な制度疲労を起こしていることは誰も否定できません。即時廃止は難しくとも、正常化に向けた措置が必要になっていると思われます。まずは、すでに認められている「特別活動(特定技能準備)」を恒常的な在留資格にすることから始めるべきでしょう。

【Timely Report】Vol.7712021.1.15号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  鳴り物入りで導入された「特定技能」が遅々とした動きではありますが、徐々に進み始めました。各国との二ヵ国協定の締結も進捗し、外食分野や宿泊分野、自動車整備分野における許可など、業種にも広がりが見えてきました。

l  しかし、関係者にとって悩ましいのは「転職」。転職禁止の「技能実習」とは異なり、「特定技能」の場合、日本での就労が認められている業種の枠内であれば転職が自由です。特に地方では、「気仙沼でイカの塩辛をつくっていた実習生が、特定技能に移ると東京の総菜屋やパン屋で働ける。みな首都圏に行ってしまう」などの不安を抱く経営者が少なくありません。

l  実際は、転職の際に入管による在留資格変更許可が必要なので、簡便に転職できるわけではありませんが、転職先に入社するまでの間、「転職支援」がどこまで求められるか不明という問題もあります。そういうこともあり、「特定技能」の雇用が可能な企業に聞いても、「特定技能は検討していない」(45.2%)と「よく知らない」(18.4%)を合わせた消極派が3社に2社(計63.6%)。「特定技能」が「技能実習」を凌駕する日はまだまだ遠そうです。

【Timely Report】Vol.547(2019.12.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一流の外国人は日本に来ない?」も参考になります。


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l  新聞記事の信憑性が薄れる背景には、「基本的な事項を調査してから、必要な取材をして、結論を出す」のではなく、記者が「結論を決め打ちし、その結論を導いてくれそうな人に取材して、基本的な事項を再調査しない」という実態があります。7月13日付けの大手新聞の記事は典型的な一例です。

l  「コロナショック→外国人解雇→転職ニーズ→特定技能の不具合」という筋書きを組み立てた上で、知り合いの業者にインタビュー。業者は、「解雇した企業やその労働組合が支援すべきだが、大体は『あとは自分でなんとかしろ』と放り出すだけ」と期待通りのコメント。そして、「特定技能」による介護分野での就労を外国人に勧めているが、「介護技能評価試験と介護日本語評価試験の両方に合格する必要がある」ので難しいという結論に導きます。

l  しかしいまは、将来「特定技能」に変更することを展望した「特定活動」が認められているので、試験合格は不要です。介護での就労に挑戦する外国人も増えています。折角、入管が画期的な対応をしているのに、事実を踏まえることなくケチを付けるのでは、入管があまりにも可哀そうです。

Vol.700(2020.7.27号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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