移民総研

諸外国における移民問題を分析・解説していきます。

タグ:雇用

l  11月30日、有名中華料理店の「梅蘭」で、接客・レジなどの資格外活動をしたとして、入管法違反の疑いで9月9日に逮捕された中国人男女7人が不起訴処分になりました。9月30日に運営会社の役員2人が逮捕され、容疑を認めたと報じられていましたが、最悪の事態は免れたようです。

l  不起訴理由は明らかにされていませんし、逮捕された役員2人のことは何ら報じられていませんから、確定的なことは言えませんが、資格外活動の疑いをかけられた従業員が不起訴なのに、雇用主だけを有罪にするということは一般的に考えにくく、「技術・人文知識・国際業務」が認めている現場研修であった可能性が完全には否定できないという結論に至ったのでしょう。

l  その意味で、今年4月、入管が「技術・人文知識・国際業務」における現場研修のガイドラインを公表したことは大きかったと思われます。「技術・人文知識・国際業務」の社員を現場で使っている企業は、当該ガイドラインを熟読して、雇用状況の遵法性を確認するとともに、当局が来たときにすぐに見せられるように、ガイドラインを現場に常備しておいた方が良いでしょう。

【Timely Report】Vol.756(2020.12.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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  • 大手就職情報会社の調査によると、外国人留学生が7月時点で内定を得た人の比率は31.5%で国内学生(77.7%)の半分以下。就活の難易度については「とても厳しい」(44.9%)と「やや厳しい」(40.2%)を合わせて85.1%が「厳しい」と回答。一方、国内学生で「厳しい」と答えたのは59.8%でした。
  • 留学生が就活を始めた時期は「4年生の4月」(17.2%)が最多で、3月を合わせると47.2%に達することに着目し、就活の開始時期が遅れたことや、エントリー社数(22.5社)が国内学生(29.2社)よりも少ないことが、内定獲得の遅れに影響したと分析していますが、表層的な見方と言えるでしょう。
  • コロナショックに揺れる大企業ではリストラが増えており、内定を獲得した国内学生だって内定解消の憂き目に遭うかもしれません。正社員に関する有効求人倍率は0.79倍(7月)とすでに1.0倍を割り込み、4年前の水準に戻っています。リーマンショックの時は、雇用に悪影響が明らかに出始めたのは3~4ヶ月後でしたから、悪化するのはむしろこれから。来春の雇用情勢は、残念ながら真っ暗となっている可能性が否定できません。

    【Timely Report】Vol.717(2020.9.2)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


    BLOG記事
    偽造在留カードが1500枚!」も参考になります。

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l  4月14日、日本国内で初めて「特定技能」の試験が行われました。宿泊業の試験が全国7カ所で行われたのですが、結局、全国で試験を申し込んだ761人に対して、実際には391人しか受験せず、申込者の半数程度(受験率51.4%)にとどまり、受験料を納付していない外国人も散見されました。

l  外国人を雇ったことのある経営者であれば、「権利は主張するが、義務を果たすかどうかはわからない」という外国人労働者の性癖を痛いほど思い知らされています。「申込」で権利を獲得した外国人が「受験」という義務を果たすかどうかはわかりません。しかし、「特定技能」の制度設計者は、そういう実態をご存じないのでしょう。申し込みが殺到したことでぬか喜びしてしまい、受験料の振り込みをしつこく催促することもなく、「来るかどうかわからない」という現実を思い知らされたということなのだと思います。

l  「特定技能」は、「外国人性善説」に基づいて制度設計されていますが、この受験結果からも分かるように、「義務を果たさない外国人」が多数存在することも事実。実態に見合った制度に早期改正すべきです。

 【Timely Report】Vol.413(2019.5.27号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  2月3日、日産自動車は、欧州向けのSUVの次期モデルの生産について、英国工場から九州工場に切り替えると発表しました。英国のEU離脱が迫る中、EU向けの乗用車輸出に10%の関税がかかる懸念もあり、合理的な判断という気もしますが、九州工場で生産して輸出するというのは少し奇妙です。

l  英国工場では数百人の雇用増が見込まれていたので、九州工場でもその程度の雇用増が必要。ところが日産は、日本国内で非正社員の確保が困難化したため、技能実習生を200人以上使っており、昨年6月にその不正使用が発覚したばかり。増員確保は容易ではありません。一方、EUに拠点のある日産スペインは、年間20万台の生産能力を持ちながら、30%~40%しか稼働しておらず、英国工場の仕事が回ってくるのを心待ちにしています。わざわざ日本で生産してEUに輸出する意味が不明なのです。

l  しかし、ルノーとの権力闘争の中、通産省にべったりくっついて「日本人企業」としての日産を復活させたいという思惑ならば、ベストの選択。ただ、政治と保身によって決定された経営戦略が最善であった試しはありません。
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【Timely Report】Vol.348(2019.2.15)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
ゴーン逮捕は外国人排斥か?」も参考になります。

外国人と入管の関係に興味のある方は ➡ 全国外国人雇用協会 へ
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l  新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、景気が悪化しているため、不安定な雇用環境にあり、言葉の問題からも声を上げづらい状況にいる外国人労働者たちが「雇用の調整弁」として切られています。工場、語学学校、ホテル、ガイド、免税店などで解雇が増え、ファミレスや居酒屋でアルバイトしていた留学生が仕事を失い、生活に困窮する人々が増えています。

l  新たな仕事を探すにも、多くの人材会社は就職フェアを休止していますし、採用面接に応じる企業自体が少なくなっています。4月の派遣時給は、販売・事務・製造・介護など少なからぬ業種で前年同月割れ。アルバイトの時給も下落が目立ち、5月には多くの業種で前年同月割れする勢いです。

l  日本で働く外国人は166万人いますから、1割強が「コロナ切り」に遭ったら、20万人近い失業者が発生します。ところが彼らは、ハローワークで仕事を探すことのない「見えない失業者」。彼らの存在を勘案すれば、完全失業率はすでに3.0%を超えていると見るべきです。適切な経済政策が講じられないと、リーマンショック時の悲惨な5%台に向かって悪化していきます。

【Timely Report】Vol.676(2020.6.19号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
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